岩波新書<br> ルポ フィリピンの民主主義 - ピープルパワー革命からの40年

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岩波新書
ルポ フィリピンの民主主義 - ピープルパワー革命からの40年

  • 著者名:柴田直治【著】
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  • 岩波書店(2024/09発売)
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  • ISBN:9784004320326

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内容説明

アジアや東欧の民主化の先駆けとなったピープルパワー革命から約40年.国を追われた独裁者の息子が大統領となり,父の戒厳令下での人権侵害や蓄財の記憶が消されようとしている.SNSが偽情報を拡散し,伝統メディアが衰退する今,フィリピンの民主主義の姿は.長年の現地取材から描く渾身のルポ.

目次

序章
三六年ぶりの凱旋
交わることのない被害者と支援者
アジアの民主化の先駆けがいま
『自由からの逃走』か
第1章 フィリピンの「発見」から独立、独裁まで
マゼランの到着からスペイン、米国、日本の支配
独立後も続いた米国の関与
「アジアのケネディ」の登場
マルコスだらけの町
殺人事件で無罪を勝ち取ったシニア
北のマラカニアン
利益誘導で培った忠誠
イメルダとの出会い、一一日後の結婚
秘密兵器から鋼鉄の蝶へ
夫婦独裁
汚職のモニュメント・バターン原発と孤島のサファリ
当意即妙、変幻自在の問答
第2章 エドサ政変からふたつめのアキノ政権まで
「やらせ襲撃」とクローニー・プレス
独裁体制の完成と人権弾圧
ニノイ・アキノ暗殺の衝撃
繰り上げ大統領選からマルコス家の追放へ
中間層、貧困層一体の幻想とその後の失望
マルコス家の帰国とラモスの当選
ピープルパワー2
よみがえるコーリー人気とノイノイの当選
高支持率下で蓄積したフラストレーション
第3章 ドゥテルテの登場と麻薬撲滅戦争
強面のスタンダップ芸人
乗車拒否をしないタクシー
治安回復で辣腕
自宅前の等身大パネル
欧米中心の麻薬撲滅戦争批判
ICCの捜査と脱退
少年の犠牲と「反戦」運動の一時の盛り上がり
治安の改善が支える「戦争」への支持
麻薬問題は解決に向かったのか
罪はあっても罰はなし
警察、税関、刑務所が麻薬汚染の震源地
無法がまかり通る収容施設
矯正局長がジャーナリスト殺害を指示
コインの表裏の美徳と悪徳
第4章 政敵排除と報道の抑圧
元大統領アロヨの無罪放免
前司法相の逮捕
最高裁長官の解職
脆弱な「司法の独立」
人権委員会の予算を一〇〇ペソに
機能しない政党
軍と治安当局の掌握
ドゥテルテゆえのノーベル平和賞
歓迎ムードなき受賞
外国の代理人か
最大放送局の免許はく奪と免許の行き先
指名手配教祖の宗教団体に放送免許
ジャーナリズムの歴史と理解は地域随一だったが
伝統メディア攻撃に溜飲を下げる人々
第5章 史上最高のドゥテルテ人気とその秘密
中間選挙でドゥテルテ派が野党一掃
任期後半でも下がらぬ支持率
経済では成果上がらず
「汚職追放」にも疑問符
父娘そろって派手な政府予算の使いっぷり
対中政策の転換
人気の秘密は、アンチ・ポリコレ?
トランプ以上の暴言
エリートへの嫌悪に乗じるポピュリスト
連発するセクハラ発言
批判する女性には厳しく
第6章 ボンボン政権の誕生とソーシャルメディア選挙
英雄墓地に埋葬されたシニアの遺体
サラとのタッグで全国ネットワークが完成
大統領一家のドタバタ劇
ICCの捜査を避けたかったドゥテルテ
マルコス陣営を支えたデジタル・クローニー
「黄金のシニア時代」という言説
偽情報の四類型
敗者ロブレド反省の弁
マラカニアン復帰へ向け周到だったデジタル戦略
ケンブリッジ・アナリティカとモルモット
ソーシャルメディア選挙元年
世界一のSNS利用国
ティックトックが主戦場
フェイクニュースへの警戒とフィルター・バブル
第7章 ピープルパワー神話の終焉と新たな物語の誕生
記事にしなかったボンボンのインタビュー
国外脱出時は二八歳の知事
「気ままで怠惰」と父の不満
オイディプスのよう
弾けるスーパー姉、アイミー
落日のアイドル、クリス・アキノ
マルコス家とアキノ家の物語
変わらない貧困と格差
アジアの発展に取り残されるフィリピン
奇跡の革命物語の敗北
忌避される「黄色」
第8章 歴史修正と政権交代の意味
「マルコス独裁」を消す指導要領の変更
巨額相続税の滞納
消えた祝日・革命記念日
ニノイ・アキノ暗殺も書き換えの対象に
一家の名誉回復がミッション
親中路線から親米への転換
政権交代による変化
蜜月の終わり
ボンボンの変節に不満を募らすドゥテルテ陣営
次の選挙へ向けての暗闘
第9章 東南アジアで広がる権威主義と民主主義の衰退
民主主義から権威主義までのグラデーション
後退するアジア太平洋地域の民主主義
時計の針を巻き戻したミャンマーのクーデター
タイの「半分の民主主義」再び
首相の座に三八年、カンボジアのフン・セン
市民的自由の規制を続ける豊かなシンガポール
共産主義のドミノから権威主義のドミノへ
中国の勃興が支える強権
ASEANで中国を代弁するカンボジア
米国の無関心と衰退、そしてご都合主義
現実化する『一九八四年』の世界
アジアの病、政治世襲
フィリピンに次ぐ世襲大国日本
アジアに民主主義は根付かなかったのか

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

68
フィリピンといえばベニグノ・アキノの衝撃的な暗殺とその後のコラソン・アキノ大統領当選とマルコスのアメリカ亡命が印象的で、その後はドゥテルテというとんでもない大統領が出たというのが話題になった位で、あまり政治状況については目にしていなかった。本書はそのドゥテルテと後続したマルコスの息子ボンボンを中心に、民主的選挙制度の下で、報道の自由などの民主的諸権利が抑圧され、選挙でフェイクがSNSで乱発され、さらに同族に政治的リソースを分け与えるフィリピンの政治構造が詳述されている。これを選挙を伴う権威主義と呼ぶとか。2025/01/17

穀雨

7
ピープルパワー革命以来、東南アジアを一貫してウォッチしてきた元朝日新聞記者によるルポ。独裁者の息子がなぜ民主的な選挙で大統領になれたのかという問題設定には、多くの日本人が共感するのではないだろうか。官民ともに法律や憲法、行政命令などをいとも簡単に無視したり破ったりしているのにはおどろかされるが、それにはカトリック教国ならではの赦しの文化が底流にあるのではとの指摘は興味深い。2025/02/08

つかず8

4
オーディブル。昔ドゥテルゥテ政権についてのニュースを日本で見ていたのをこの本で思い出した。フィリピンに限らず、東南アジアでは独裁政権への回帰がトレンドになっている様に思う。ドゥテルゥテは麻薬撲滅運動を戦争と訴え、時に非人道的な事件が国内で起こっていた一方で、国内の治安については一定の向上が見られており、終始高支持率であった。フィリピンのSNS使用率は世界No1とのデータもあり、アメリカ選挙コンサルで名高いケンブリッチアナリティカのfeasibility調査をフィリピンで実施していたこともあった。2025/11/04

倉屋敷??

4
やっぱりドゥテルテは面白い。人気が出るのもわかる。 まぁ麻薬撲滅運動の内容はやり過ぎだと思う。 そもそも警察、関税がザルすぎるので意味がない。 まず公務員の収入を見直さない限り難しい。これはフィリピンに限ったことじゃないけど。2025/01/26

大道寺

3
audibleで聴取。あとがきで言及されているように私もフィリピンの政治にはすっかり関心がなくなっていた日本人の一人で、マルコス・シニアの息子ボンボン(最初日本語のボンボン息子のことかと思った)が大統領になっていてしかもドゥテルテ家と協力関係にあったなどということはつい最近その関係が破局し物騒なことになるまで知らなかった。ピープルパワー革命でマルコス家を追い出しても、次々と支配者の家名が変わるだけといった様相のある政治史で、それを許す文化の土壌がフィリピンあるいはアジアにはあるのかもしれない。2025/03/30

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