装置としての性支配

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装置としての性支配

  • 著者名:江原由美子
  • 価格 ¥3,190(本体¥2,900)
  • 勁草書房(2024/10発売)
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  • ISBN:9784326651641

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内容説明

母性・中絶・ポルノを貫く女性身体の〈社会的構成〉に照準し、21世紀のフェミニズムを展く。男による支配でもなく、資本による支配でもなく「装置としての性支配」を考える。

目次

はじめに

I

装置としての性支配――90年代上野・江原論争への中間総括
 1 上野・江原論争とは何であったのか
 2 リベラル・フェミニズムでもなく、マルクス主義フェミニズムでもなく
 3 装置としての性支配
 4 フェミニズムにおける「労働の問題」と「身体の問題」

II

上野千鶴子氏の「文化主義批判」を批判する
 1 「唯物論派」対「文化派」?
 2 理論的実践の固有性
 3 「文化派」とは何か
 4 意識への特権的批判は可能か

フェミニズムとは何か
 1 はじめに
 2 第二波フェミニズムの原点――認識の主体としての女性の権利の主張
 3 女性の沈黙――認識力を否定された女性とその自己欺瞞の回路
 4 認識主体としての女性の権利
 5 社会的権力の存在の指摘

「性支配」論への覚え書き
 1 フェミニズムは積極的評価を指向しうるか
 2 自己決定権と自己定義権
 3 二つの還元主義
 4 主体性と権力

「社会的権力」の理論化はいかにして可能なのか――「文化主義批判」論争再考
 1 振り返ってみれば――論争の生産的展開のために
 2 「文化対物質」問題再考
 3 「社会的権力」の理論化はいかにして可能なのか――リベラル・フェミニズムとマルクス主義フェミニズムを越えて

III

労働中心主義とフェミニズム
 1 労働に賭けた未来――二〇世紀の初頭のチェーホフ劇
 2 労働中心主義とフェミニズム
 3 働く女性の増大と新しい労働観
 4 労働の未来学

フェミニズムとジェンダー
 1 はじめに
 2 フェミニズム運動第二の波
 3 女性と近代――男性中心的な「近代社会認識」からの脱却
 4 社会学とジェンダー

権力装置としての家族
 1 家族は「権力」という言葉で記述できるか
 2 家族における「権力」とは
 3 行為の複数文脈性と権力
 4 権力装置としての家族
 5 性役割と権力

セクシュアル・ハラスメントのエスノメソドロジー――週刊誌にみる解釈の政治学
 1 セクシュアル・ハラスメント問題とエスノメソドロジー
 2 週刊誌にみる解釈の政治学

従軍慰安婦について
 1 記憶の政治学と従軍慰安婦問題
 2 民族差別としての従軍慰安婦問題
 3 天皇の軍隊――日本軍と日本社会
 4 性差別としての従軍慰安婦問題――沈黙を強いたもの

女性問題と人口問題――女性学的観点から
 1 導入――出生率低下問題と女性問題
 2 堕胎論争から優生保護法「改正」問題まで――日本の女性運動における人口問題のとらえかたの変遷
 3 女性問題と人口問題――一・五七ショックをめぐって

結婚しないかもしれない症候群――現代日本における結婚のリアリティ
 1 結婚の意思決定をめぐって
 2 結婚しないかもしれない症候群
 3 現代日本における結婚のリアリティ

IV

 1 母性本能という社会規範
 2 会話分析からみたセクシュアル・ハラスメント
 3 人は自己(他者)の身体に対していかなる権利を持つのか
 4 異常な働き方
 5 専業主婦願望
 6 アジア系女性は「裏切り者」?
 7 女性総合職の未来
 8 嗜癖という病い
 9 学びつづけることを望む女性たち
 10 多数派になった性別役割分業否定派
 11 皇太子妃決定のニュースと女性の社会進出
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

アルクシ・ガイ

3
上野千鶴子にからんだ前半は飛ばしました。読むと混乱しそうなので。「セクシュアル・ハラスメントの…」四半世紀も前の本だというのに、性犯罪についての世間の反応はほとんど変わらない。工場長が人事権を持っていないのをY子が知っていたのかどうかの件りなんて、まるっきり伊藤詩織の事件そのまんま。2020/08/14

Tomomi Hori

1
不器用なまでに正確に自身の立場を述べる江原由美子に尊敬の念を抱く。そして、「子どもを産む性」に生まれたために、また「子どもを産まない性」に生まれたがゆえに、日常的に巻き込まれる??性支配を考えることは、おそらく、私の目的に沿っていると再確認。2012/04/07

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