内容説明
母性・中絶・ポルノを貫く女性身体の〈社会的構成〉に照準し、21世紀のフェミニズムを展く。男による支配でもなく、資本による支配でもなく「装置としての性支配」を考える。
目次
はじめに
I
装置としての性支配――90年代上野・江原論争への中間総括
1 上野・江原論争とは何であったのか
2 リベラル・フェミニズムでもなく、マルクス主義フェミニズムでもなく
3 装置としての性支配
4 フェミニズムにおける「労働の問題」と「身体の問題」
II
上野千鶴子氏の「文化主義批判」を批判する
1 「唯物論派」対「文化派」?
2 理論的実践の固有性
3 「文化派」とは何か
4 意識への特権的批判は可能か
フェミニズムとは何か
1 はじめに
2 第二波フェミニズムの原点――認識の主体としての女性の権利の主張
3 女性の沈黙――認識力を否定された女性とその自己欺瞞の回路
4 認識主体としての女性の権利
5 社会的権力の存在の指摘
「性支配」論への覚え書き
1 フェミニズムは積極的評価を指向しうるか
2 自己決定権と自己定義権
3 二つの還元主義
4 主体性と権力
「社会的権力」の理論化はいかにして可能なのか――「文化主義批判」論争再考
1 振り返ってみれば――論争の生産的展開のために
2 「文化対物質」問題再考
3 「社会的権力」の理論化はいかにして可能なのか――リベラル・フェミニズムとマルクス主義フェミニズムを越えて
III
労働中心主義とフェミニズム
1 労働に賭けた未来――二〇世紀の初頭のチェーホフ劇
2 労働中心主義とフェミニズム
3 働く女性の増大と新しい労働観
4 労働の未来学
フェミニズムとジェンダー
1 はじめに
2 フェミニズム運動第二の波
3 女性と近代――男性中心的な「近代社会認識」からの脱却
4 社会学とジェンダー
権力装置としての家族
1 家族は「権力」という言葉で記述できるか
2 家族における「権力」とは
3 行為の複数文脈性と権力
4 権力装置としての家族
5 性役割と権力
セクシュアル・ハラスメントのエスノメソドロジー――週刊誌にみる解釈の政治学
1 セクシュアル・ハラスメント問題とエスノメソドロジー
2 週刊誌にみる解釈の政治学
従軍慰安婦について
1 記憶の政治学と従軍慰安婦問題
2 民族差別としての従軍慰安婦問題
3 天皇の軍隊――日本軍と日本社会
4 性差別としての従軍慰安婦問題――沈黙を強いたもの
女性問題と人口問題――女性学的観点から
1 導入――出生率低下問題と女性問題
2 堕胎論争から優生保護法「改正」問題まで――日本の女性運動における人口問題のとらえかたの変遷
3 女性問題と人口問題――一・五七ショックをめぐって
結婚しないかもしれない症候群――現代日本における結婚のリアリティ
1 結婚の意思決定をめぐって
2 結婚しないかもしれない症候群
3 現代日本における結婚のリアリティ
IV
1 母性本能という社会規範
2 会話分析からみたセクシュアル・ハラスメント
3 人は自己(他者)の身体に対していかなる権利を持つのか
4 異常な働き方
5 専業主婦願望
6 アジア系女性は「裏切り者」?
7 女性総合職の未来
8 嗜癖という病い
9 学びつづけることを望む女性たち
10 多数派になった性別役割分業否定派
11 皇太子妃決定のニュースと女性の社会進出
ほか
感想・レビュー
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アルクシ・ガイ
Tomomi Hori




