内容説明
作り手の作為を見抜くと、ドキュメンタリーは悪魔的に面白い。『映画を早送りで観る人たち』の著者による、令和の新しいドキュメンタリー入門書! あなたの部屋にカメラが設置してある状態での“普段の生活”と、カメラがない状態での“普段の生活”は、絶対に同じではないはずだ。『さよならテレビ』『ザ・コーヴ』『主戦場』『映像の世紀』『水曜日のダウンタウン』……。数々の作品を通し、ドキュメンタリーの加工性に迫る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
25
事実をありのままに写すのがドキュメンタリーと思いがちだけど、なのでフィクションの方が面白いと思われがちだけど、そうじゃないよ、ドキュメンタリーだって作者の意図や作為が入りまくりで、むしろそこを味わう面白さがあるんだよという事を作品事例を多々交えて教えてくれます。ドキュメンタリー好きなのでなるほどぉ!と楽しく読了。著者の稲田豊史さん、ポテトチップの本やファスト映画の本も読みましたが、文章がわかりやすい&説明が上手い。他の本も読んでみようと思います。2024/11/24
遊々亭おさる
18
世間を騒がせているフジテレビ問題も視点と切り取る場所を変えればまた違う物語が顔を出す。素人もカメラの前に立てば自然に台本の無い演技をし始める。テレビもネットも新聞も事実の断片はあっても、公平な視点での真実は無い。ドキュメンタリー作品も純度100%の真実を映し出すことは出来ない。製作者の意図を汲み取り、やらせと演出の境界線や恣意的に偏よらせた情報の中ではリテラシーが試される。ドキュメンタリー作品の観賞の在り方・楽しみ方を過激なバラエティ番組やプロレスの話を交えて語られる。全てのドキュメンタリーは娯楽である。2025/02/07
大泉宗一郎
6
ドキュメンタリーとは「虚構を用いずに、実際の記録に基づいて作ったもの」と広辞苑で定義されている。だが、フレームに何を写すか、被写体にどう働きかけるか、どの映像を取捨選択するか、膨大な素材からどんな物語(フィクション)を紡ぐかは、すべて製作者の意図のもとにあり、虚実の境界は曖昧だ。本書は、そんな製作者らの作為と企みの楽しみ方を映画・TVドキュメントを挙げながら解きほぐしてゆくのだが、悪魔的に面白い作品の演出法を咀嚼した著者が、本文にも同様の演出を援用して解説してゆくのでドキュメントとしても滅法面白かった。2025/01/14
チェアー
6
ここで書かれている事は新聞や雑誌にも適用される。記事や情報は書き手が得た情報を、取捨選択して作る。通常の記事では主張したいことやゴールが決められていて、全く行き先がわからない中で取材をすることは少ない。 それは嘘ではない。本当のことをかき集めて、事実を伝えている。だが、真実は別の側面から見ることもできる。米国で言うところのアナザートゥルースだ。2024/11/19
GOTI
4
☆☆☆★面白かった。これまで「ドキュメンタリー」を「事実」あるいは「真実」と信じてきた。それが脆くも崩れ去った。確かに言われてみれば!「映像の世紀」「水曜のダウンタウン」「テラスハウス」「プロレス」等々を取り上げながら分析している。被写体はレンズを向けられた瞬間から演技をする。隠し撮りをしたとしても、編集(切り取り)によって白が黒になったり、また逆もある。プロレスラーの評価の基準は「強いか」ではなく「うまいか」。そしてドキュメンタリーの評価は視聴者の納得感や笑いを得られたか。 2025/09/02
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