岩波新書<br> 介護格差

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岩波新書
介護格差

  • 著者名:結城康博
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  • 岩波書店(2024/08発売)
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  • ISBN:9784004320289

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内容説明

団塊世代が全て75歳以上の後期高齢者となり,団塊Jr.世代は50歳を超える2025年.介護問題がさらに深刻化していくのは必定とされる.経済,医療・健康,情報,地域,親類・縁者,世代間,意識の7つをキーワードとして,介護保険の実態や課題を余すところなく解説.誰もが安心した介護生活を送るための決め手を探る.

目次

はじめに
序 章 介護は「人」との がり次第なのか1
おカネも大事だけれども......
「ケチ」な要介護者
年金毎月10万円層が厳しい
第1章 やっぱり「おカネ」次第?
1 介護と経済力格差
老後不安を抱く高齢者
介護費用はいくらか?
介護期間は?
2 貧困/裕福な要介護者
木造アパートに住むケース
裕福なほどケチ
3 介護保険料からの貧富差
介護保険料の仕組み
保険料滞納とペナルティ
増える滞納者
介護保険料格差
4 高齢者世帯の貯蓄格差
増える独居及び老夫婦高齢者世帯
独居高齢者(単独世帯)の実態
核家族世帯の高齢者世帯
3世代家族の場合
5 老後資金2000万円不足問題
金融庁報告書
厚生年金受給者における格差
老齢基礎年金(国民年金)は厳しい
厚生年金と国民年金との格差
6 生活保護受給者は「最下位層」ではない
半数以上は高齢者
医療や介護の負担がゼロ
生活保護受給者と高齢者アパート
生活保護受給となれば介護は安心
7 格差はジニ係数で測れるのか?
ジニ係数とは
サービスに がらない層
民間介護保険の加入者
第2章 頼れる人がいるか否かで明暗が分かれる
1 介護格差は若いときから始まる
要介護者の人間関係?
孤独への不安
2 「おひとりさま」は気楽ではない
介護施設の3割は入居困難
身元保証人とは
医療同意が課題
援助者にとっての安心感
3 身元保証人がいない
親族以外でも
身元保証人を請け負う業者
成年後見人制度は限界がある
4 要介護者の仲間の大切さ
デイサービス等での人間関係
介護は生活である
介護は「死後」格差にも がる
第3章 医療と健康格差
1 健康寿命による格差
元気でいられる寿命
介護予防とフレイル
コミュニケーション力の差
輪の中に入るコツ
2 認知症を患うか否か?
年齢を重ねれば認知症になる
徘徊の介護
異食行動と排泄障害
3 病気と介護
要介護者となる疾患
医療的ケアを伴うか否か
介護施設も限られる
「がん」を伴う介護
介護保険サービスの限度額
要介護認定申請と主治医
医療と介護の連携の必要性
4 在宅介護における入院とリハビリ
一般病床の現状
退院後の行き先
在宅での「リハビリ」の現状
5 感染症にもろい介護現場
コロナ禍における経験
ワクチン接種手続きや会場へのアクセス
医療・介護連携にも課題
サービス利用控えと機能低下
衛生用品不足による混乱
介護施設のクラスター
医療機関に入院できない
面会規制下における成人式
コロナ禍の教訓
第4章 介護人材不足と地域間格差
1 介護人材不足による深刻さ
介護事業所閉鎖による影響
小規模デイサービスが閉鎖
訪問入浴介護サービスも使えない
サービス依頼を断る要因
2 地方の介護現場
徳島県三好市を訪ねる
離島では
3 住む市町村で異なる
市町村による解釈の違い
介護保険料の地域差
4 要介護認定率の差
要介護者の出現率に差
「運」も否めない
高齢者意識による違い
主治医にも頼んでおく
5 介護保険以外のサービス格差
自治体による高齢者福祉サービス
民間市場による保険外サービス
6 介護業界と他産業格差
有効求人倍率における格差
尋常ではない訪問介護の人材不足
給与格差
職場環境の格差
ケアマネジャーが見つからない!
ケアマネジャー不足の要因
7 市町村の財政力と首長次第
地方政治の差
ヘルパー資格に自治体が責任を持つ
8 地域の互助組織力の違い
ボランティア不足も深刻
民生委員不足の実態
第5章 介護は情報戦!
1 知っているか否かで違う!
情報の取得次第で変わる!
介護事業所が喫茶店経営
2 SNSなどの情報
メリットとデメリット
介護サービス情報公表制度の活用
間違わない介護施設の選び方
疑念があれば役所などへ
3 民間介護施設相談センター
地域包括支援センターの限界
民間介護施設相談センターの活用
1件契約成立30万~50万円
貧困ビジネスについて
天涯孤独の要介護者の住まい
市内の処遇困難ケースが集まる
特養が空いている
有料老人ホームの細分化
4 高級有料老人ホームのメリット
高級有料老人ホームを訪ねる
現役時代は高収入層が多い
5 自助の意識も重要
介護のイメージを抱いておこう
苦情を述べることも重要
第6章 団塊ジュニア世代の介護危機
1 人口減少社会と介護問題
団塊世代と団塊ジュニア世代
DXへの期待と課題
40年後も未知数
2 年金格差
保険料と給付額
年金給付額は目減りする
3 団塊ジュニアと親の介護
ケアラー(家族介護者)とは
ダブルケア
借金が増える孫世代
シングル介護
多重介護
家族介護者の格差
家族介護者の集いの場
増えている男性家族介護者
4 注目されるヤングケアラー
介護がもたらす児童間格差
お手伝いとの差異?
千葉県調査研究委員会に携わる
セルフケアの視点
外国人のシングルマザー
ケアラー支援と介護保険
5 仕事と介護の両立格差
ビジネスケアラーによる経済損失
介護休業の充実
介護離職の実態
6 先進的な企業
大企業を訪ねる
浸透しつつある介護課題
7 家族介護者における世代間格差
世代間で異なる家族介護
介護保険創設時とのギャップ
第7章 厳しい2024年改正介護保険
1 禍根を残す2024年改正
抜本改正とは程遠い
老人保健施設等の自己負担増
福祉用具の「選択制」導入
2 介護事業者には期待外れ
誤解される介護報酬引き上げ
在宅介護は幻想化する
訪問介護の基盤が崩れる
地域包括支援センターは限界
ケアマネ更新制度は廃止に
有料老人ホームによる配置基準の緩和
3 2027年改正が正念場!
給付サービス抑制の動き
ケアプランの自己負担導入
2割負担層は現状維持にすべき
第8章 格差是正のための処方箋
1 勝負の10年!
2 競争原理の再検証
過度な競争原理
市場と準市場の違い
保険者機能を強化
特養ホーム施策の変革
3 「契約制度」の限界
旧「措置制度」の評価を見直すべき!
自治体責任が低下
自己決定権は錦の御旗?
4 このような変革を!
ヘルパーの公務員化
介護は「雇用の創出」
10%程度の介護報酬引き上げを!
高額介護サービス費の優遇
新たな「療養介護福祉士」の創設
准看護師との比較
介護人材紹介業の規制
5 立ちはだかる財源論
新たな公費の投入
法人税の引き上げを
資産に基づく負担増
消費税増税は?
6 介護は経済政策!
発想の転換
外国人介護職員と日本経済
介護は「負担」ではなく「投資」
終 章 「介活」で格差を乗り切ろう!
1 「介活」をやってみよう!
2 「介活」とは
支えられ上手に
ハラスメントの加害者にならない
良し悪しは「口コミ」から
元気なうちから親子で考えよう
介護相談機関などを調べておこう
「かかりつけ医」を持とう!
元気なうちは働こう!
3 災害と要介護者
避難行動要支援者名簿
個別避難支援計画
4 介護に関する価値観
世代間に応じた価値観
どうして介護が必要か?
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ねこ

96
介護する側は相方のお母さんを10年ほどしました。大変だったなぁ。自分の両親は今年父親が亡くなり母親は基本長男が見てくれているので可能性としては相方と私の介護。年金額が月10万だと生活保護受給の月11万と医療、介護保険が全てタダと比べると「在宅介護」は厳しいのが実態とあって驚きました。もう一つ驚いたのは独居高齢者の15%が貯蓄額がない!…日本は大丈夫なのか心配になってくる。そして元気なうちは働こう70歳までは週に3〜4日これが介護予防には1番だと。…まー、分からないでもないけど働く事がイヤでなければね。2025/08/16

ネギっ子gen

61
【介護格差は、高齢者や家族の「意識づけ」で変わる】経済、医療・健康、情報、地域、親類・縁者、世代、意識の各格差の実情に光をあて、介護保険の実態や課題をあますところなく解説。誰もが安心できる介護生活を送るための決め手を探った新書。<「介護」が必要となる日に備えて情報収集に励む/「介護予防」に励んで、要介護者になりにくくなることは重要な視点である。しかし、日頃から介護に関する意識を高めていれば、いざ要介護者となっても困らずにすむ/介護は「運」次第という要素は否めない>が、運・不運も努力次第で状況は変わると。⇒2024/10/04

けんとまん1007

60
介護をキーワードに、福祉とは・・を考えながら読み進めた。制度の在り方、現状を踏まえ、今後の方向性について整理されていて腑に落ちる点も多い。介護を受ける側、関わる側について、経済的な面からのアプローチだけなく、コミュニケーションの在り方や、コミュニテイの在り方も考えた。いきなりは難しいと思うが、制度改正云々という言葉を眼にすると、胡散臭いものを感じてしまうようになっている自分がいる。机上の論理だけでは、いい方向へ行かない。人は生き物であるということを忘れない。2025/03/10

けぴ

43
介護保険でカバーできる介護のみでは不足することも多く、また介護職に対する賃金の安さから介護保険を使って介護を受けようとしても受けられない事態が想定される。介護保険外の自費で介護を受けられる人のみ安心なので「介護格差」が生まれる。解決策としては介護分野への公費の注入、特に介護職への賃上げや公務員化が案とした述べられる。財源としては法人税の強化が挙げられている。新たな国債を発行することなく実現されることを願う。2025/04/17

Mc6ρ助

21
介護格差というタイトル、なんかとってつけたみたい。もちろん格差は歴然と存在するが、生活保護受給者のほうが充実した介護を受けられる、介護じゃなくて年金額とか生活保護の(10%程度だという)捕捉率やなんかのこの日本を取り巻く生活安全保障の問題だよね。介護保険の持続のためと称して提供する介護の負担額を増やし質を落としているけれど、みんなが生活保護を申請したら税金から拠出せざるを得ないんじゃなかろか?いや、どこかに乳母捨て山を作ってしまうかも知れない、今日この頃の日本・・。選挙のときだけ社会保障ってなんかな〜。2025/07/09

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