内容説明
学生時代はボランティアサークルに所属し、国内外で活動しながら、ある出来事で心に深傷を負い、無気力な中年になったみのり。不登校の甥とともに、戦争で片足を失った祖父の秘密や、祖父と繋がるパラ陸上選手を追ううちに、みのりの心は予想外の道へと走りはじめる。あきらめた人生に使命〈タラント〉が宿る、慟哭の長篇小説。
解説・奈倉有里
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピース
44
地方から大学入学の為に東京に出てきたみのりはそこでボランティアサークルに入る。その活動の中で海外に行くこともあるがそこで起こってることは日本では考えられない強烈なものだった。後輩の死という悲しいこともあったが祖父の過去、サークルの仲間、パラリンピックに出場する涼花など魅力的な登場人物の多い話だった。2025/07/10
piro
40
「人は、善意にはぜったいに善意を返すものだと、意識することもないくらい強く信じていたのだ。」それが必ずしも正しくないことを知った時のみのりの戸惑いが心に刺さる。そして、祖父・清美の過去と彼の秘めた思いが謎解きの様に明らかになるに連れ、みのりの心も少しずつ氷解していくさまに静かな喜びを感じました。時折挟まれるもう一つの時系列、祖父の清美と思われる視点で語られる戦中から戦後のお話の結末を知った時には更なる喜びが…。パラアスリートの涼花の跳躍の様に、みのりももう一段高く跳べる予感がします。2024/11/02
yunyon
31
私が好きな言葉「やらぬ善よりやる偽善」、24時間テレビの今年のやす子さんのマラソンもそうだけど、四の五の言って、何にもやらない人より、自分が動いて何かをする人の方がいい。それぞれの使命がある。2024/09/30
ココ
24
紛争や難民、手に負えない問題との係わりの中で、傷つく主人公やその友達たちの心情が丁寧に描かれていく。時代を行ったり来たり、若き頃の祖父の体験を挟みながら、構成が良かった。作者の熱量を感じた。2025/04/03
あまね
20
8月にこの本を読めて、本当に良かったと思いました。帯の『各紙誌絶賛』というのは嘘ではなかったです。正直、序盤は『角田さんの作品にしてはゆったりだなぁ』などと思いましたが、半ばから社会派で骨太な内容にぐんぐんと連れられていきます。多方面のテーマを抱えているにも関わらず、破綻せず読者の手を取りながら完走する筆はさすがです。個人的には読みながら時代を振り返り、サーーっと流してきてしまった様々な出来事についても考えさせられました。多くの人に読んでもらいたい作品です。2025/08/23
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