内容説明
東アフリカの大国エチオピアとの国境付近。ルイこと龍一は、そこで知り合ったイタリア人の男・ピアッサとE国へ潜入した。バベルの塔を思わせる巨大な螺旋状の塔内に存在する無数のカジノが、その国の観光資源だった。そこは、砂漠のなかに屹立するギャンブラーたちの魔窟。上階へ行くほど賭け金は上がり、最上階では国王自らがディーラーとなり、国家予算規模の賭け金で勝てば、E国は自分のものになるという……。奪われたものを取り戻すために、そして、この国を乗っ取るために、巨大なカジノ・タワーの最上階を目指せ! 注目の作家が放つ、スリリングなギャンブル小説!!
目次
黄色い夜
花であれ、玩具であれ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海龍読書部
8
ギャンブル好きにおすすめの本。ページ数が少なくテンポよく進むからすらすらと読めた。ただ面白いかと言われると微妙な内容に思ってしまった。2025/05/28
gelatin
7
★★★★(★ 面白かった~!宮内悠介本領発揮。異国情緒、賭け、コンピューター、そして絶望からの回復。中東の争いを見るにつけ、人類はどこに向かいどこにたどり着くのかと考えるけれど、それが全くの夢物語でなく、この現実に則してさらに仄かな希望に繋がればいいのにと願う。生きてこそ頭上に青空は広がる。黄色い夜を越えて。2024/01/12
イツキ
6
カジノで成り立っている国で、主人公が国そのものを乗っ取るため勝負に挑んでいく話。シンプルな勝負と短いながらも印象的な登場人物たちの背景が印象的。駆け引きやギャンブルのスリルを楽しむというよりギャンブルに関わることになってしまった登場人物の生い立ちや不安定さ、心情の描写がメインだと感じました。2023/12/09
縁川央
2
ハンターハンターの天空闘技場みたいだった。掲載されていた雑誌の枚数の問題もあるのかもしれないけれど、結構あっさり終わった。漫画っぽい作風だとたまに思うけど、やはりそういう影響はあるのだろうか。2023/11/30
■■■(伏せ字)
1
著書の本は初。楽しく読めた。テーマや人数に比して尺が短く、良く言えばサクサク、悪く言えば断片的という感じ。カネとチップの区別がない博徒の根無し草人生は、エンタメとして傍から眺めている分には気持ちがいいw 特に本作の主人公はあらゆる欲望から解脱した一種の超人として描かれており、バクチもの特有のサスペンス的ハラハラ感には乏しいものの、すっきりカラッとした読み味になっている。内省的・寓話的な着地点にも生臭さがなく、バクチものの読後感じゃないなこれは…w2025/04/18