内容説明
この男、大罪人か? 稀代の開拓者か?
生きたお宝を狙え!
絶海の無人島で鳥を撲殺し、
金を生み出す島へと変えた男、玉置半右衛門。
その壮絶な人生とは!?
八丈島生まれの留吉は、大工の棟梁をしている
同郷の半右衛門の誘いで横浜へ移り、
奉公先で商いを覚え異国語も学ぶ。
偉ぶらず、やることは大胆で、強引さのある
半右衛門に憧れていた留吉は
「半右衛門の役に立ちたい」と思い続け、
27年後ウィリアム商館で番頭を
務めるまでになっていた。
「鳥島へ行かないか?」
半右衛門に声をかけられ島へ渡ると
驚くべき光景が広がっていた。
「おい! 羽を毟るのは丁寧にしろよ。
売り物にならなくなっちまう」
品定めに厳しい商売人の留吉は
南洋開拓に命を懸けたこの男に
ますます魅了されていく!
主な登場人物
・菊池留吉 八丈島生まれ。
海を見る度閉塞感を覚えていた。
半右衛門に誘われ、横浜へ。
・玉置半右衛門 大工の棟梁となり、
やがて八丈島と東京とをつなぐ廻船業を始める。
・近藤富蔵 近藤重蔵の息子。流人となり、
八丈島へ。島の子に算盤や読み書きを教える。
【目次】
第一章 横浜居留地
第二章 沖の太夫の島
第三章 羽毛長者
第四章 新天地
第五章 楽園の風
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
76
アホウドリの羽毛で財を成した明治の実業家・玉置半右衛門。同郷の半右衛門に誘われ9歳で八丈島を出て横浜で奉公するようになった菊池留吉。留吉の目を通して語られる半右衛門の生涯。留吉が感じていた島の暮らしの閉塞感、半右衛門の飽くなき欲望。鳥島での乱獲と撲殺でほぼ全滅したアホウドリの哀れさと、なぜ南大東島に八丈島の文化が根付いているのかなどとても興味深く読んだ。2024/10/22
のぶ
76
明治時代の実業家、玉置半右衛門の生涯を描いた伝記小説。人物が魅力的に書かれていて、面白く読む事ができた。半右衛門は八丈島の代官の子どもとして生まれる。江戸幕府が小笠原諸島の開拓民を募集すると、これに応じて父島に渡る。その後、鳥島でアホウドリを捕らえ、羽毛を売りさばくビジネスで大儲けして財を成す。その後鳥島が大噴火し、アホウドリの捕獲に関わっていた玉置の人足らが死亡しそこでのビジネスは終わる。その後は南大東島でサトウキビでのビジネスを展開する。商売の上手い人だと感じた。この人物を知る事ができて良かった。2024/08/19
hirokun
45
★3 梶よう子さんは好きな作家さんの一人で、新刊を中心に読んでいる。歴史小説好きな私にとって、ほとんど歴史の中に埋もれている人たちに焦点を当て、その生きざまを目の当たりにするかのように描いてくれる。今回の主人公もただ私が知らなかっただけかもしれませんが。いつの時代においても、人は欲と好奇心に引っ張られ、他人から見ると無謀とも思えることに挑戦しているのだろう。2024/08/31
kawa
42
舞台の鳥島は漂流小説やノンフィクションでよく登場する無人島。そこに生息するアホウドリは漂流民の生命をつないだ貴重な食資源。本作はその鳥の羽毛が羽毛布団の格好の原料となることに気づいて乱獲、巨万の富を築く八丈島出身の玉置半右衛門の一代記。「目端の利く」典型的経営者として描く、私の好きな明治もの。ウイキによると労働者酷使の悪徳経営者という評価もあって、登場人物との確執を通してそんな片鱗もチラチラと。後に無人島だった沖縄・南大東島の開発にもたずさわる人物だが、それらも含めて一種の冒険小説としても楽しめる。2024/09/02
おかむら
30
羽毛のためにアホウドリ600万羽を撲殺して大富豪に! 明治時代の実業家玉置半右衛門の生涯を小説化。読後ウィキで玉置半右衛門のページを読むとほぼ史実通りなんですが、そこは小説、この傲慢強欲な大悪人のイメージをどう描いているのかがお楽しみ。アホウドリ乱獲についてはこの本の参考文献にもある「アホウドリを追った日本人 一攫千金の夢と海洋進出」平岡昭利 岩波新書 がめっちゃ面白いです。2024/09/22
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