ちくま学芸文庫<br> ことばの学習のパラドックス

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ちくま学芸文庫
ことばの学習のパラドックス

  • 著者名:今井むつみ【著者】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2024/07発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480512376

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内容説明

赤ちゃんはなぜことばを正しく理解できるようになるのか? この謎を解く鍵として1980年代に登場したのが「制約」理論だ。人間にはことばに関して正しいかどうかを判断する基準が生得的に備わっている、というのだ。しかし研究が進むにつれ、言語間でのカテゴリー化の違いなど、この理論だけでは説明のつかないことが出てきた。そこで著者が導いたのが「制約」は人間の発達の過程で外的状況や言語にあわせて柔軟にコントロールされる、という仮説だ。本書ではそのメカニズムが巧みな実験により明らかにされていく。認知科学の分野をリードしてきた著者の原点となるデビュー作。

目次

はじめに/第1章 ことばと意味の即時マッピングと制約理論/1.1 子どもはことばの学習の天才である/1.2 クワインの謎/1.3 ことばの意味とは何か? /1.4 外延と内包──ことばの学習のさらなるパラドックス/1.5 ことばの学習における制約/1.6 制約のタイプ──概念的制約とことばの意味についての制約/第2章 ことばの学習における概念的制約の役割/2.1 概念的制約とは何か/2.2 存在論的カテゴリー/2.3 子どもがどのように存在論的カテゴリーを理解するか/2.4 概念的制約の評価/第3章 言語領域特有の制約/3.1 事物全体バイアスと事物カテゴリーバイアス/3.2 形状類似バイアス/3.3 相互排他性バイアスとコントラスト原理/3.4 ことばの意味付与における制約と概念的制約の関係/第4章 形状類似バイアスと事物カテゴリーバイアス/4.1 子どもにとって「同種のもの」とは何か? /4.2 形状類似から分類学的基準への移行モデル──STSモデル/4.3 STSモデルの実験的検討/4.4 カテゴリー知識をチェックする実験/4.5 2つの実験からの考察──初期の形状類似バイアスの意義/第5章 形状類似バイアスから事物カテゴリーバイアスへの変化のメカニズム/5.1 形状類似バイアスの意味/5.2 意味付与の原則における変化のメカニズム/5.3 3歳児の形状類似バイアスと知覚類似性ブートストラッピング実験/5.4 知覚類似性ブートストラッピング効果の発達実験/第6章 ラベルの学習とカテゴリーの属性の理解/6.1 ことばの外延と内包の学習/6.2 事物カテゴリーバイアスと属性の帰納的投影/6.3 ラベル拡張と属性推論の比較実験/6.4 ラベル拡張の際に子どもが属性推論より形状類似性に依存するのはなぜか? /第7章 形状類似バイアスと事物全体・カテゴリーバイアスの生得性と文化普遍性/7.1 形状類似バイアス/事物全体・カテゴリーバイアスは発話の当初から適用されるか? /7.2 制約の文化普遍性──乳児のことばの学習パターンの異言語比較データ/7.3 日本人幼児とアメリカ人幼児のことばの意味付与の原則は同じか/7.4 この章でわかったこと/第8章 形状類似バイアス/事物全体・カテゴリーバイアスの起源/8.1 制約は学習の当初から働かなければならないか/8.2 形状類似バイアス/事物カテゴリーバイアスが生まれる過程/第9章 内的制約と外的制約の均衡関係とことばの発達/9.1 「内からの制約」と「外からの制約」/9.2 ことばの学習における外的制約と内的制約/9.3 助数詞文法と可算,不可算文法の作る言語的カテゴリーの違い/9.4 ことばの学習における内的制約と外的制約の相互作用を示す研究──今井とゲントナーの実験/第10章 ことばと概念発達/10.1 ことばの学習のメカニズム/10.2 ことばと概念発達/ちくま学芸文庫版あとがき/解説 ことばの習得研究はどこからきてどこへいくのか(佐治伸郎)/参考文献/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホシ

17
認知科学・認知言語学の第一人者、今井むつみ氏によるデビュー作。文庫ですが、第一言語習得論のガッツリ本です。後半は難解で飛ばし読み。生得的なバイアスによって言語の学習が「制約」されるという仮説を前提に子どもの言語習得が詳述されます。子どもは物体か物質か、生物か非生物かなどを教えられなくても分かるらしい。こうしたバイアスによって可算名詞・不可算名詞などが習得されるといった内容。30年前の著作なので最新の成果は反映されませんが、L1習得論の必読書といって良いでしょう。学徒は手に取るべし。2025/01/23

mn

0
英語での実験ベースで、日本語はその派生という位置づけが多い2025/03/10

horada

0
***2024/08/15

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