内容説明
古代中国において「つまらぬ言説」を意味した“小説”。それが歴史のなかでいかに変貌を遂げていったかを、漢初から清末まで各時代を代表する作品を取り上げながら追っていく。小説の起源における語部と道家との関係、怪異な事件を記録する「志怪」からフィクションとしての性格を持つ「伝奇」が生まれたこと、そこにおいて僧侶が果たした役割、そして明末の長篇伝奇小説が黄色小説へと移行し、それが清初の才子佳人小説を育んでいったこと…。著者独自の視点と15のテーマを通し、中国古典小説の特色を浮かび上がらせる。
目次
第一章 小説と物語──史家と方士たち/寓言と小説/小説と小説家/史官と方士/史記と漢書/鴻門の会/陸賈と楚漢春秋/史書と演義小説/春秋と国語/方士の語った小説/第二章 志怪から伝奇へ──史家と読者における変化/志怪と五行・讖緯思想/類書と古小説鉤沈/捜神記と干宝/曹丕と劉義慶/サロン文人と物語の伝統/伝奇の誕生/古鏡記と遊仙窟/物語の場/第三章 仏教と説教──応験記と遊行僧/応験記の成立/応験記的性格の志怪/金剛経応験記の流行/唐臨と冥報記/宋、元、明における金剛経応験記/洪邁と夷堅志/鬼国母/文芸の担い手としての僧侶/転変と転経/説経と文芸/第四章 二都の夢──新たな「小説」の誕生/志怪にみる仏教の影響/六朝貴族社会の崩壊/俗講と市人小説/ 京と臨安/東京夢華録と夢粱録/瓦子と勾欄/説話四家/講史書と「小説」/緑窗新話と酔翁談録/第五章 神話の没落── から五通へ/霊怪の門庭/汀州と山?/独足の山?/山海経と山海経図/ 一足/〓、梟陽、鋻巨人/山都と猿/畢方、木客、その他/淫神五通/財神五通/第六章 類書から通俗類書へ──伝奇小説の変遷/その一/種本と話本/煙粉、伝奇と女鬼/文言の伝奇と白話の伝奇/宋代の小説集/二つの『酔翁談録』/鴛鴦灯と紅惕密約張生負李氏娘/類書と通俗類書/明代後期の通俗類書/伝奇小説の長篇化/第七章 短篇小説だった水滸伝──長篇小説の育たぬわけ/水滸伝成立史/梁山泊と百八人の好漢/宣和遺事/水滸の盗賊たち/好漢の銘々伝/水滸伝と「小説」/梁山にのぼれなかった好漢たち/白話小説と作者/第八章 法家と小説家の間──公案概念の変遷/酔翁談録の公案/明末の公案小説集/判決から捜査へ/疑獄集と折獄亀鑑/棠陰比事と棠陰比事物語/事件簿と余象斗/名判官物語/万暦時代/第九章 包龍図の登場──講唱文芸のとりで/民衆に愛された包公/包公の実像と虚像/包公をめぐる民間信仰/包公説話と「小説」/有名無名の判官たち/宝をめぐる物語/説唱詞話から説書へ/公案小説から 義小説へ/第十章 幽霊さまざま──伝奇小説の変遷/その二/元末明初/剪灯二話/いとしい幽霊/たたる幽霊/王魁負心と灰骨匣/自刎と怨念/さまよえる幽霊/取り殺す論理と取り締まる論理/鴛渚誌餘雪窓談異と幽怪詩譚/第十一章 話本から小説へ──輯佚と創作/洪 の清平山堂/熊龍峯四種小説と通俗類書/発跡変泰話本と紅白蜘蛛記/三言百二十篇/馮夢龍/柳七官人像の変化/第十二章 伝奇から小説へ──礼教と女性の運命/劉小官雌雄兄弟/男装の目的/女性の孝と貞/劉方三義伝/梁山伯と祝英台/心堅金石伝/霞箋記における改悪/嫌疑と恥辱/第十三章 白蛇伝の変遷──民衆のはぐくむもの/馮夢龍の白蛇伝/西湖の怪の物語/三怪の話/白蛇の話/嫉妬と蛇/白蛇伝の成立/白娘子の解放/第十四章 金瓶梅から紅楼夢へ──才子佳人小説と佳人の男装/中国小説史上の才子佳人小説/長篇伝奇小説との関係/才子佳人小説と金瓶梅/金瓶梅と四大奇書/万暦の気風/春秋配と呉江雪/佳人の男装/さまざまな試み/風流配と鴛鴦譜/紅楼夢/文康の児女英雄伝/第十五章 さまざまな小説──清末小説にいたる流れ/杜騙新書/照世盃/応挙を題材とする小説/受験百態/儒林外史/李宝嘉の官場現形記/劉鶚の老残遊記/清官を批判する小説/李漁の小説の多様性/あとがき/参考文献/索引
感想・レビュー
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さとうしん
Rieko Ito
Ta283
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