「ビックリハウス」と政治関心の戦後史

個数:1
紙書籍版価格
¥2,750
  • 電子書籍
  • Reader

「ビックリハウス」と政治関心の戦後史

  • 著者名:富永京子【著】
  • 価格 ¥2,750(本体¥2,500)
  • 晶文社(2024/07発売)
  • ポイント 25pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794974365

ファイル: /

内容説明

ほんとうに若者たちは政治に無関心なのか?
伝説的サブカル雑誌から「若者の政治離れ」の源流に迫る。


「政治に関心がない」とされがちな若者の第一世代である「しらけ世代」。だが、彼らはほんとうに政治や社会運動に関心がなかったのか? そして、なぜ現在に至るまで非政治的だとみなされているのか? 糸井重里、橋本治が編集に参加し、YMOやタモリもたびたび登場した伝説的サブカルチャー雑誌『ビックリハウス』 (1974―85)から、「若者」たちの心のうちと彼らの“運動”の実態、その意図せざる帰結を実証的に明らかにする。
各メディアで活躍する社会学の新鋭が「若者の政治離れ」の源流に迫る渾身の一冊。

 目次

『ビックリハウス』ギャラリー
はじめに

第1部 日本人は政治と社会運動に背を向けたのか?――問題意識・先行研究・方法と事例

1 消費社会と私生活主義は日本人を政治から遠ざけたのか?――問題意識

1-1 消費社会と私生活主義
1-2 六〇―八〇年代における社会意識と政治参加の動態
1-3 私生活主義と政治への忌避を代表する存在としての「若者」
1-4 本書の構成

2 「雑誌の時代」と『ビックリハウス』――先行研究
2-1 なぜ雑誌なのか――読者共同体の緊密なコミュニケーション
2-2 私生活と公的関心の入り交じる場としてのサブカルチャー雑誌――『面白半分』『話の特集』『宝島』
2-3 政治性・対抗性を「見過ごされた」サブカルチャー雑誌『ビックリハウス』

3 事例、方法、分析視角
3-1 事例――雑誌『ビックリハウス』
3-2 方法――雑誌の計量テキスト分析と内容分析
3-3 分析視角――戦争、女性、ロック

第2部 戦後社会の価値変容――戦争経験、ジェンダー、ロックの視点から

4 語りの解放と継承のずれ――「戦後」から遠く離れて

4-1 七〇年代以降の反戦・平和運動と方法をめぐる是非
4-2 『ビックリハウス』における戦争の語り
4-3 「戦後」から遠く離れて

5 女性解放――運動がなしえた個人の解放、解放された個人への抑圧としての運動
5-1 同時代の雑誌上における女性表象の両義性
5-2 「個の解放」への真摯さと「性の解放」の挫折
5-3 解放の過程にある女性たち

6 「論争」から「私的」へ――みんなで語るそれぞれのロック
6-1 『宝島』と対抗文化としてのロック
6-2 『ビックリハウス』はロックをどう「論争」したか
6-3 「人それぞれ」の読者・編集者共同体

第3部 みんなの正しさという古い建前、個人の本音という新しい正義

7 社会運動・政治参加――規範と教条主義に対する忌避・回避

7-1 政治への関与を辞さないサブカル雑誌
7-2 『ビックリハウス』の政治関心
7-3 「べき」への忌避、「主体性」の尊重、「共同体」の隘路

8 「差別」が率直さの表明から不謹慎さを競うゲームになるまで
8-1 マイノリティへの本音という対抗の実践
8-2 『ビックリハウス』におけるマイノリティと差別
8-3 表現規制へのカウンターから過激さの競争へ

9 自主的で主体的な参加の結果、「政治に背を向けた」共同体
9-1 若者の生の声としての『ビックリハウス』
9-2 若者の主体性を歓迎する共同体としての『ビックリハウス』
9-3 「書くこと」がもたらした解放とその行方

10 意図せざる結果への小路――考察と結論
10-1 本書の知見がもつ普遍性
10-2 時代論・世代論への反論
10-3 「人それぞれ」を超えて

おわりに
参考文献
付録 『ビックリハウス』頻出語リスト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

fwhd8325

52
私にとって、「ビックリハウス」は、深夜放送の延長にあるものだったと思います。編集長の高橋章子さんは、マスコミの露出も多く、ある世代にとっては「文化」の象徴だったと思います。同時期に現れたタモリも、この世界にはまってきます。この著書は、とても調べ上げていて、どの論調もストンと腑に落ちるものでした。ここが起点だったという、ある種怖い懸念は、現実感があり、著者が本当に語りたかったことはこれなんだろうと思いました。2024/11/22

阿部義彦

19
予想と違ってかなり、学術的アプローチでしたが、『宝島』『面白半分』『話の特集』等の話題も含め、60歳位の人にはかなり刺さる内容。糸井重里、橋本治、原田治、安西水丸、凄いメンツが関わってました。特にロック関係では、大瀧詠一が『ビックリハウス音頭』を作曲(シングル買いました!)そしてムーンライダーズが『ヘンタイ良い子の唄』ですもんね。キヨシロー、ユキヒロ、教授も常連でしたねー。同時に『宝島』も買ってたし、大学で上京した時「レモンスカッション」に参加してアッコ編集長と話をしました。私の基礎教養みたいなもんです。2024/08/08

ポルポ・ウィズ・バナナ

8
◎85年の時点でドラえもんの入浴シーンに対してクレーム入ってたの知らんくて驚いた。他にもいま問題視されてる問題は当時から議題に上がってんだけどフワッと有耶無耶にされて今に至る感じがするな。◎自主性、主体性の尊重と規範・教条主義への対抗という70-80日本に生じた二つの価値が、消費社会における若者共同体を通じて「政治参加・社会運動への揶揄、冷笑、攻撃」と「差別を笑にする態度」を生じさせてしまったと結論づけるか ◎『ホールアースカタログ』2024/09/03

Shun'ichiro AKIKUSA

7
「昭和六〇年代生まれの自分にとって昭和五〇年代とは、要はそれだけ遠かったのだ。」2024/09/03

iwasabi47

5
生活綴方運動と投稿を結びつける話からの結語は納得。オルタナティブはオーソドックスとの対比があるからこそかな。2025/03/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22004867
  • ご注意事項

最近チェックした商品