内容説明
夏の終わり。残りわずかとなった「図書屋敷」での日々を過ごすアンのもとに、義母の千冬がやってきた。すぐにでも東京へ連れ戻すという千冬に、アンは――? 幼い頃に親しんだ童話の世界の奥底へ、図書迷宮の扉が開く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
32
晩夏の札幌。「図書屋敷」で過ごせる期間もあとわずかなアンが昼間は図書館の手伝い、夜中は「図書迷宮」の司書見習いとして励むなか、東京から継母の千冬がやってくる第2弾。高校生のアンに対して、年上の高見が提示した「走れメロス」に対するもうひとつの見解。「問題があればすぐに連れ戻す」と告げられた最悪のタイミングで起きた、図書館の本が何者かに傷つけられる事件。気にかけているのにすれ違っていた千冬さんともしっかり向き合えて良かったですけど、長い歴史をかけて少しずつ変わっていった物語の変化もなかなか興味深かったですね。2024/09/06
assam2005
25
図書館の本が傷つけられると、その本の世界が壊れる。本の世界を守るために、本を傷つけられるのを守ろうとするアン達。とある共通点に気づき、次に傷つけられそうな本を見つけ、犯人を待ち伏せる。読み方によっては、本によって傷つけらることもある。「人が偏った読み方をするときは、大抵(読み手が)問題を抱えている」「思考はクセだ」←この言葉が印象的。本の世界を創っているのは、読み手。十人十色の世界となる。同じ本を読んでも、同じ世界は見えない。レビューが誰一人同じにならないのは当然か。2024/09/08
れな
9
本作もアンが図書迷宮で司書見習いとして成長していく物語。 前作よりも継母との関わりなど人間関係が描かれていて現実と、図書迷宮というファンタジーが重なり合っていて、軽快な読み心地にもかかわらず深みを感じた。 事件が発生するというミステリー要素もあり、アンの図書迷宮の冒険もあり、何重にも楽しめた。 1度読んで知っている物語でも、次読めば読み方が変わる。知っている物語でも、知らない物語が待っている。そんな読書の楽しみ方を改めて教えてくれる素敵な物語だった。2024/09/08
栗山いなり
9
札幌にある不思議な図書館の司書として奮闘するアンの姿を描いたビブリオファンタジーシリーズ第2巻。物語が生み出す世界での冒険劇とミステリーの合わせ技の物語に母と娘の物語がいい感じに組み合わさって心にじんわりと来る物語になっていた2024/08/25
よっしー
8
続きが出てくれて嬉しい。アンと千冬の問題が解決したのは良かったし、太宰治の駄目っぷりエピソードには笑ってしまった。2024/10/13