ソヨンドン物語

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ソヨンドン物語

  • ISBN:9784480832214

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内容説明

資産価値にこだわる者の果てしない欲望と苦悩。持たざる者の苦労と、未来への希望。韓国中間層の現実をリアルに描いたハイパーリアリズム連作小説。舞台はソウルにある架空の町〈ソヨン洞(ドン)〉。近年の不動産バブルやマンション購入、過剰な教育熱、所得格差といった社会問題が、住民の悲喜こもごもとともに描き出される――。

目次

春の日パパ(若葉メンバー)/警告マン/シェリーのママ、ウンジュ/ドキュメンタリー番組の監督、アン・ボミ/百ペ雲グン学院連合会の会長、ギョンファ/教養あるソウル市民、ヒジン/不思議の国のエリー/作家の言葉/日本の読者の皆さんへ/訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケンイチミズバ

70
ソウルでも東京でも同じマンションに住まう世帯ならば世帯年収から生活レベルから同程度だろう。周辺の教育環境や通勤を考えての購入だろうなと思える。そういう意味では同類の巣。その同類の会話がメインになっている。ただ、当たり前だけど人それぞれの抱える悩みや考えはそれぞれ。マンションの資産価値を気にしてやまない、リタイヤ後近隣マンションで警備員をする父親が住民からのハラスメントに反撃、子供がバイリンガル幼稚園に通うママ友同士のぎくしゃくした関係、東京でも日常の光景で変わらない。これ、文学なのか?と思いながら読んだ。2024/08/15

ケイティ

32
ソヨンドンという架空のエリアを舞台に、そこに立ち並ぶ様々なマンション群と住民たちを取り巻く連作短編集。さすがベストセラー作家だけあり、テンポよく展開もしっかりしていて引き込まれました。登場人物が多いけど、キャラの個性が際立つ描写が面白く、知り合いのように感じてきました。韓国社会における不動産事情、人間関係の濃さと生々しさが終始垣間見えて、エンタメだけど考えさせられる1冊。2024/08/08

かもめ通信

19
架空の町“ソヨン洞”を舞台に繰り広げられる連作短篇。物語に描かれているのは、不動産バブルを背景に、マンションを転売して資産を増やす“一般人”や念願の一戸建てを手に入れた一家、住宅環境や教育環境、近所づきあいや所得格差……等々。そこにもここにも私がいて、あそこにもあちらにも見知った顔が見え隠れする。読んでいるとなぜだか息が詰まりそうなほど胸が痛くて。いつもながらチョ・ナムジュ、国も生い立ちも立場も異なる読者に“これは私だ”と思わせるのが巧すぎる。 2024/08/19

星落秋風五丈原

18
「何を書きたいのかわからない」「着地点どこ?」という感想が多かったが、たぶんこれ春の日パパは実はこの人でした。バーン!って決着をみんな期待してたと思う。でも群像劇、オムニバス描写劇になってしまいましたからね。2024/09/09

kibita

14
ソウル市内の架空の町、ソヨン洞を舞台にした連作短編集。韓国の不動産格差社会、超学歴主義は有名だが、韓国の人々は自分達が作り上げた社会システムの下、息も絶え絶えだ。不動産価値を上げることに血道をあげるマンション所有者代表クレーマーおじさんや英語幼稚園のママ達も、関係性によっていくつもの顔を持つ。それがこの連作の面白さだった。「魂まで掻き集めて」借金し不動産投資で成功しようとする2、30代を指す〈ヨンクル族〉や夢のマンションでの住民間の地獄の騒音トラブルもリアル。2024/08/11

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