ライトノベルから見た少女/少年小説史 - 現代日本の物語文化を見直すために

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ライトノベルから見た少女/少年小説史 - 現代日本の物語文化を見直すために

  • 著者名:大橋崇行
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 笠間書院(2015/01発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784305707437

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内容説明

〈少女小説〉と〈少年小説〉が、
戦前から戦後にかけてのまんがの成立を大きく規定し、
日本の「まんが・アニメ」文化の礎を築いてきたのではないか―。
ライトノベルを起点に〈少女小説〉〈少年小説〉に戻り、日本の物語文化を見直す。
特権化されてきた、まんが・アニメーション文化論を超え、現代日本の物語文化を見直すとき、そこにはどんな問題が立ち上がってくるのだろうか。

これまであまり行われてこなかった、まんが・アニメと小説とがどのようにつながるのかという問題を、〈物語文化〉という問題意識から考える文芸批評。
大塚英志~東浩紀を経てゼロ年代批評に至る既存のサブカルチャー論に、文学研究の視点から全面的に反論。日本のキャラクター文化言説の再編成を行う、刺激的な書。

【......これからの私たちがまんがやアニメーション、ライトノベルについて語るときに求められるのは、それぞれのメディアを「特殊」な文化として囲いこみ、それぞれのメディアにおいて作り出されただけを限定的に論じるというあり方ではないはずである。むしろ、日本のまんが文化、アニメーション文化、そしてそこに加わったライトノベルという媒体、その他日本語によって作られている〈物語〉を伴ったさまざまな文化全体の中で、それぞれがどのように位置づけられるかということを考えていく視点が必要である。
 このような視点のあり方を、筆者は〈現代日本の物語文化〉についての考察と称している。......】......本書第三章より

目次

はじめに

 一般文芸のライトノベル化という現象を前にして
 「まんが・アニメ」文化は、「おたく」文化として特権化されてきた
 そもそも「おたく」文化とそれ以外とのあいだに、本当に距離はあったのか?
 「まんが・アニメ」文化の礎を築いたのは、〈少女小説〉〈少年小説〉ではないか
 ライトノベルを起点に日本の物語文化を見渡す

第1章●ライトノベルとキャラクター

 ライトノベルの現在
 一般文芸のライトノベル化
 「ライトノベル」は定義可能か
 一般的すぎた東浩紀の「データベース理論」
 〈文学史〉としての「リアリズム」
 リアリズムという幻想
 本書の目的―〈物語文化〉を見直す
 「ライトノベル」とは
 「ジャンル小説」としてのライトノベル
 「ジャンル外」作品群としての少女向けレーベル
 「ライトノベル」一九九〇年「誕生」説について
  (1) ネット上に見られる情報共有のあり方
  (2) 「ライトノベル」という用語の「誕生」
  (3) 普及しなかった「ライトノベル」
  (4) 「ひとくくり」にすることの是非
   a 性別隔離文化
   b ファンタジーブームとTRPG
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ひめありす@灯れ松明の火

52
最初に言おう!誤字脱字が多すぎる!もう少し校正をちゃんとして~。『時をかける少女』がまさしく時を駆ける状態になっていますよ。児童文学も、少年少女小説も、ライトノベルも、ジュブナイルもその他の一般小説も、自由に往来していて、全部ひっくるめてそういう物に育てて貰った!と自負しているから、それを外から見ると言うのはなんとなく面白かったです。確かにコバルト作家はコバルト作家だ。それ以外にはならない。ヤングアダルトの謎にはこんな秘密があったのかというのが一番の勉強になりました。シリーズ内で扱いが違うのはそういう訳!2015/09/27

よっち

44
ラノベ作家でもある著者が、ライトノベルを起点に「少女小説」「少年小説」という観点から日本の物語文化を見直し論じた一冊。明治から現代に至るまでの少年小説や少女小説の解説はやや難解にも感じましたが、その源流に当たる部分がどこにあるのかという模索や少女小説の位置づけ、これまであったサブカルチャー論を文学研究の視点から論じた試みは興味深く、一読の価値はあると感じました。読んでみてしみじみ思ったのは、自分が読み始める以前の流れは実感するのが難しいということ。皆が納得するように定義するのはなかなか大変なんでしょうね。2015/09/16

ゆかーん

33
ライトノベルとは、ポッと出の軽い読み物ではない事が分かりました。明治以降の少女文学と少年文学。これらの子供向けの物語が基盤となって、完成されていった奥の深い物語だということが理解できました。更に奥が深いのが『キャラクター』の存在です。言葉の言い回しやイラストによって、登場人物のキャラが分かりやすく、物語に入って行きやすいという特徴がありました。最近では大手出版社も、イラスト付きの小説を販売して若者の読者を狙っています。時代を越えても生き続ける小説文化。子供だけでなく大人からも愛されているのが素敵です。2015/03/26

ヤギ郎

16
戦後からライトノベルまでの変遷はなんとなく知っていました。この本はなんと明治時代からの文学から現代文学を見つめています。物語好き(特にライトノベル好き)必見の本だと思います。同じ作者の『ライトノベルは好きですか?―ようこそ! ラノベ研究会』のほうが、内容はこれよりも薄いものの、物語スタイルで書かれているので読みやすいです。こちらから読むことをおすすめします。2015/01/22

サイバーパンツ

14
細かい部分で色々と突っ込みたいところはあるのだが、キャラ語や台詞、言葉の様式性にキャラクターが編成されているという大筋の論旨には同意。戦前のジュニア小説にラノベの起源を見る本書は、コマとコマの関係、キャラ図像間の動的な連なりから内面が立ち上がる点に着目した『少女マンガの表現機構』と相補的な関係にあると思った。大風呂敷を広げ過ぎた感はあるものの、大塚英志が唱える戦後マンガの歩みが柄谷史観的な日本近代文学の反復としてあるという論がどこまで妥当かを考える一助にもなりそうで、議論の叩き台としては興味深い内容。2019/05/31

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