内容説明
「暗暗裏」「将来する」「櫛比」「揣摩臆測」……メディアで大活躍の評論家が、表現力と思考力を高める言葉を厳選。言語の「幼児化」が敗戦後の国語改革に起因することを明らかにし、「漢字制限」と「ルビ規制」という二重の拘束から日本語を解き放つことを提言する。洗練された言葉使いが身につくスーパー語彙本、第2弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふみあき
59
2年前にベストセラーとなった前著に続く第2弾。著者曰く「私の本としては異例の反響だった」ようで、デビュー作『夫婦別姓大論破!』の頃からのファンとしては感慨深い。クレームが多かったのか、今回は巻末に索引も付いている。内容はもちろん前作の続きなのだが、今作は戦後の国語改革への批判がより目立つ。一番面白かったのは、読売新聞が敗戦直後に載せた「漢字を廃止せよ」という社説。現在では保守系と見られる同紙は、当時は国字ローマ字化推進の旗を振っており、その上級語彙を使いまくった漢字批判は、ほとんどジョークとしか思えない。2024/08/31
たかぴ
7
存在に先立つ言葉。言葉、言語があるから世界を切り分け、細かく認識し、そこから更に広げ深めていく事が出来る。 その豊かな世界観を担っていた種々の漢字が失われていくのは、そのままその希少な存在、概念が無くなっていく事に。2024/11/10
Ryoichi Ito
5
「言葉は単なる意識伝達のツールではなく,存在そのものであり,概念それ自体であり,われわれは言葉なしに,分節化され,秩序立った世界に対することができない」そのとおりだと思う。ただ,上級語彙の大部分が漢語だという事実は日本人にとって大きな負担だ。 2024/11/18
ざび
5
本作品での覚書 須臾しゅゆ 敷衍ふえん 直截ちょくせつ 輿論と世論 果せるおおせる 流言蜚語 筆者の言うところの「ルビ」の削減が日本人の語彙の減少の原因になっていると言うことには強く同意する。 小説、論説を書いた筆者が、こう読ませようと思っていても違う読み方になってしまうのはそもそも文学に対する冒涜と私も思う。 当て字で情緒を醸し出すための標語がルビがないため作者の意図と違う読み方をされる例は 微風をびふうと普通に読ませるのか、そよかぜと読ませたかったのか 昴 の歌詞でも宿命をさだめと読んでいる 2024/10/08
オールド・ボリシェビク
3
良書である。「上級語彙」といっても、決して難解な漢語でもなく、きどった言い回しでもない。ただ、「わかりやすさ」だけを主眼にした文章でよいのか、という著者の問題提起真摯に聞くべきである。言葉とは、単なるコミュニケーションツールではないことを、繰り返して力説している。言葉とは、存在に先立つ何かなのである。日本語論であり、哲学でもある。ミヤテツ、頑張れ。応援したくなった。2025/03/15