徳間文庫 鎮西八郎為朝（上）火の巻

著者名：村上元三【著】

徳間書店（2024/07発売）

• ISBN：9784195982334

内容説明

六条判官源為義の八男為朝は、京での狼藉を権臣藤原信頼にとがめられ、大宰府へ放逐された。しかし為朝を迎える大宰府も大弐藤原実正の悪政に民衆は飢え、豪族たちの思惑渦巻く戦乱の地であった。阿曾忠国父娘の窮状を救い、阿蘇に招かれた為朝は、やがて九州を平定すべく、鎮西八郎として軍を起こし、ついには大宰府までを鎮圧したが……。一代の豪弓為朝の炎の生涯を描く名作歴史大作。

感想・レビュー

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[saladin]

優しい為朝だ。京での乱暴狼藉も私欲のためではなく、世の不正を正そうしての行為。しかも、無頼に走った理由は生母（江口の遊女）との関係からだ。ついに九州に放逐されるも、かえってその真価を発揮し、各地を鎮圧して”鎮西八郎”と呼ばれることに。が、ここでも無駄な戦いは極力避けようとする。京に呼び戻され、”保元の乱”に参戦することになるが、これも自ら望んでではない。乱後、敵側であった義朝を除く、父・為義ほか兄弟たちは捕らえられ斬首に処される。為朝も捕らえられるが、父兄たちの敵討ちは企てず、伊豆大島送りに粛々と従い…。

2021/09/03