帝国 その世界史的考察

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帝国 その世界史的考察

  • ISBN:9784000240673

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内容説明

国家の主権が脅かされる世界情勢のなか,帝国論の再検討が進んでいる.本書は,歴史社会学の重鎮による「帝国」論入門の決定版.古典的な陸上帝国,「大航海」時代後の海外帝国,支配・被支配の関係性,「国内植民地化」問題,生き続ける帝国的統治までを射程に入れ,「多民族帝国から国民国家へ」という単線的な歴史像を刷新する.

目次

序文
謝辞
第1章 時間と空間のなかの帝国
定義の問題――意味のグループ
古代,古典古代,近代の帝国――帝国の歴史における二つの分水嶺
第二の分水嶺――ヨーロッパの帝国主義
第2章 東洋と西洋の帝国の伝統
帝国移動(translatio imperii)――「永遠のローマ」
中華帝国――「中心の王国」
中華帝国の成長
イスラームの帝国
第3章 支配者と被支配者
対立と適応
宗主国と植民地――陸上帝国と海外帝国における距離の問題
支配者・入植者・先住民
第4章 帝国,ネーション,国民国家
ネーション,国民国家,ナショナリズム
帝国としての国民国家
国民国家としての帝国
帝国から国民国家へ――自然な過程か?
帝国とナショナリズム
国民国家に対立する帝国――原理的な差異
第5章 衰退と滅亡
修辞的な装置か?
中国と帝国の終焉
ヨーロッパの陸上帝国の没落
脱植民地化と海外帝国の終焉
第6章 帝国後の帝国
帝国の遺産
陸上帝国の遺産
海外帝国――ポストコロニアルの条件
宗主国社会における帝国のその後
帝国に未来はあるのか?
「アメリカ帝国」――帝国としてのアメリカ?
訳者あとがき
参考文献
読書案内
用語リスト

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

35
国家の主権が脅かされる世界情勢を背景に、再検討が進んでいる帝国論。様々な視点からアプローチして「多民族帝国から国民国家へ」という単線的な歴史像を刷新する1冊。世界的宗教や哲学が生まれた枢軸時代の旧帝国とその後の世界帝国、大航海時代後の海外帝国としてのヨーロッパ帝国主義、東洋と西洋の帝国の伝統、支配・被支配の関係性、帝国と国民国家の関係性、中国・ヨーロッパそれぞれの帝国の衰退と終焉、宗主国社会における帝国のその後、生き続ける帝国的統治など様々な観点から考察を重ねている今の時代を考える上で興味深い1冊でした。2024/07/09

ポルターガイスト

4
250ページに満たない簡素な論考だが古今東西の帝国についての議論がまとめられておりページ数に対しては重い読後感だった。クラクラした。「国民国家と帝国は相反するばかりでなくむしろそのミニチュアとして捉えられる」「旧来の陸上帝国と近代の海洋帝国はその違いはあれど同質性もかなりある」みたいな相対化の連続で,歴史を学ぶ上で欠かせない諸々の基礎概念を揺さぶられる。新課程の「世界史探究」を教える人間にはもってこいの一冊。少なくとも自分は古代帝国と世界大戦期の帝国の解体については授業構成が大幅に塗り変えられたと思う。2024/06/16

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