内容説明
ピロリ菌などの慢性感染,化学刺激,肥満,老化…あらゆる「炎症」とがんの関係を,発がん・進展・治療の段階に沿って網羅的に解説.がん免疫療法をはじめ,炎症を制御して予防と治療をめざす先端研究を紹介します.
目次
【目次】
序
概論 炎症は抗腫瘍免疫の敵か味方か?
第1章 慢性炎症を引き起こす因子と発がん
1.炎症による発がんの考え方―免疫チェックポイント阻害剤によりもたらされたパラダイムシフト
2.慢性炎症にかかわる免疫細胞
3.発がん,がんの進展を促進する悪い炎症と抑制する良い炎症
4.がんの進展・抗腫瘍免疫における良い線維化・悪い線維化の本態とその役割
5.感染症による炎症と発癌
6.慢性炎症と消化器発がん
7.炎症を調節する腸内細菌と腫瘍微小環境
8.老化細胞による加齢性疾患・がんの病態進展機構
9.環境因子による炎症と発がん
第2章 慢性炎症による発がんとがんの増殖・進展に影響を与える因子
1.細胞の生理的機能とゲノム異常・エピゲノム異常の関連
2.慢性炎症に引き起こされるがんの “point of no return” をどう考えるか?
3.免疫編集によるがん細胞の変化
4.クローン進化による発がん,炎症と自然選択
5.慢性炎症とクローン性造血,発がん
6.遺伝子変異に基づく腫瘍微小環境の炎症の特徴と免疫応答
7.腫瘍微小環境での代謝変化がもたらす炎症・免疫環境の変化
8.慢性炎症,ミトコンドリア障害と発がん,がんの進展
9.慢性炎症とエクソソーム,がんの進展と診断マーカー
第3章 早期治療介入,予防に向けた研究・技術開発
1.ソフトマター物理学に基づく,時空間病態モデルの構築―炎症から発がんへ
2.STING炎症シグナルの1分子・超解像イメージング
3.セルロースナノファイバーシートによる極微量体液中の細胞外小胞解析
4.慢性炎症のコントロールとがんの発生・進展への影響
5.炎症コントロールをめざしたがん医療
6.がんに伴い引き起こされる炎症の種類と治療への応用
7.慢性炎症を標的とした細胞療法
索引