内容説明
見えないけれど、どこにでもいる
植物の妖怪とも称されるウツログサ。
多くは無害だが人についたものは宿主の欲望を読んで成長することもある。
幼いころから傍にある穴。誰にも言えず自分だけが見えることに
怖さを感じて――(「アナホコリ」)。
ニュータウンのひかり台でウツログサを祓う男と、
それに囚われた人々の心のうちをあざやかに描く。
『活版印刷三日月堂』の著者によるリアルで不思議な物語。文庫オリジナル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
169
“ウツログサ”。人に憑くだけでなく、建物にも憑いたり、何にも憑かず浮遊したり、様々な形があるらしい。ウツログサに取り憑かれた人を、祓い師の笹目が正義の鉄槌をくだす勧善懲悪もの……、嘘でーす(カラクリドールかっ!)。あっ、俺にもウツログサが…、嘘でーす。ウツログサは無害のものもあり、取り憑いた人の欲望により時には被害をもたらすこともある。笹目によって、祓う祓わないは本人次第。ホラーっぽいのもあるが、そこはほしおさなえさん。ホラーさえも優しく包み込む。切なくもあり、優しくもあり、続編あれば読みたいですね。2024/06/26
KAZOO
130
ほしおさんの連載物がいくつか終了となったので新しい分野での話が始まったような感じです。「ウツログサ」という一般の人には見えない草のようなものが取り付いている人物についての物語です。それが見える祓い師が解決する薬を提供しようとしますが、それを断る人もいます。奇妙な感じもしますが楽しめました。私はコミックの漆原友紀さんの「蟲」のシリーズを思い出しました。2024/06/13
シナモン
120
いつも傍にある穴(アナホコリ)、爪から生える草(オモイグサ)、皮膚に浮かびあがる文字(ツヅリグサ)、背にぶら下がる瓢箪(ウリフネ)、ふわふわした光るもの(ヒカリワタ)…他の人の目には見えない虚ろの生き物、ウツログサ。祓うも祓わないもその人次第。どこか寂しく、幻想的な雰囲気が漂う短編集だった。私の知らない感じのほしおさなえさん。こういうのもいいな。2024/07/19
のぶ
97
ほしおさんは今までに「活版印刷三日月堂」や「言葉の園のお菓子番」のシリーズを読んできたが、本作はそれまでの作品にない不思議な世界を描いた物語だった。ウツログサと呼ばれる、植物の妖怪のようなものを中心にした5つからなる話で、見える人にしか見えない。そんな物体につかれた人々と、それを祓う、笹目という人物がどれにも出てくる。何だか現代の民話のようで、その先にはその人にとっての希望や幸せが込められていた。ほしおさんはこんな話を書くのかという戸惑いはあったが、決して悪い雰囲気ではなかった。2024/06/20
アルピニア
47
「植物の妖怪」のようなウツログサ。どこにでもいるが、見える人はわずか。人やモノに憑りつき、大抵は悪さをすることはない。しかし、たまに人が取り込まれてしまうこともある。そんなウツログサを祓うのが祓い師笹目の仕事だ。様々なウツログサに憑りつかれた人が描かれる。どの人も祓うか祓わないかを悩むところに考えさせられる。決して嫌いな内容ではないが、ほしお作品にしては、明るさ、優しさ、温かさが少な目だなと感じた。2024/09/27
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