内容説明
時は幕末。江戸城下、大久保の地。長く泰平の世が続き、代々この地を守ってきた鉄砲同心たちは、火薬の原料を転用したつつじ栽培の内職に励み、家計の足しにするようになった。礫(つぶて)家の丈一郎も三十すぎだが、つつじ栽培の内職に専念する毎日。父の徳右衛門が老いても家督を譲らぬためと、小禄の家計を助けたいからだ。ある日、父を訪ねて同役だった貫田が来る。田安家家老の俳諧の会に入りたいから仲介してくれというのだが……。銃の代わりに鋏を握る丈一郎が、礫家を巻き込む様々な事件に果敢に立ち向かう。喧嘩も笑いも絶えない丈一郎一家の、温かな〈お江戸家族小説〉。
目次
化けむじな
市松哀歌
火薬の加役
縁の花
秘してこそ
花弁の露
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんぶん
24
【図書館】梶よう子の花と侍を扱ったもの。 鉄砲同心の日々の暮らしを描くと同時にツツジ栽培に勤しむ丈一郎の生き様を描く。 家族愛とそれに纏わる諍いなど面白おかしく綴っている。 梶女史の視線には家族を愛すると言う確固たる証が見える、三代に渡る時代の流れもユニークである。 事件という事件が起きないのも良い、まるでホームドラマだ。2024/08/10
Y.yamabuki
20
鉄砲同心礫家の丈一郎は、内職仕事のつつじ栽培に精を出す。火薬の材料がつつじの肥料になることから、少禄を補うため他の同心達もつつじを育ている。人を楽しませるつつじを咲かせる事が好きな丈一郎は、この泰平の世に鉄砲など必要なのかと考えてしまう。各編、事件は起こるが、何れ継ぐお役目とつつじの世話に対する心の持ちようや時々の家族の様子が中心に描かれる。季節の移ろいを感じ、鮮やかなつつじの花を眼に浮かべ物語を楽しんだ。シリアスな作品の後には、どうしてもこういったほっこり読書で人心地つきたくなる。 2024/07/23
ごへいもち
9
いかにも女性の書いた男性という感じがちょっとイマイチ2025/02/12
ふみえ
5
馴染み深い場所が、かつてはツツジ畑だったとは知らなかった。圧巻な風景だろうなと想像した。武士の内職=傘貼り浪人だったので興味深かった。優しさ溢れる物語。2025/08/13
みっちゃん
3
礫家は、大久保で鉄砲同心である。足軽の身分で禄が少なく、火薬の材料を転用しつつじの栽培の内職に励む一家の話。4世代が暮らし、なかなか隠居しない父と部屋住みでつつじの栽培が才を持つ息子の丈一郎は、顔を合わせると喧嘩ばかり、嫁のみどりははっきりと物事を言う女性。物忘れの始まった祖母登代乃、温和な母広江、生真面目な息子市松の一家が大小さまざまな事件に巻き込まれる。ドタバタ喜劇のようで面白かった。2025/03/29
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