内容説明
「他人の気持ちが分からない」ことが悩みの谷原豊(たにはらゆたか)(18)は、曾祖母の死(享年100)をきっかけに、謎の霊媒師・鵜沼(うぬま)ハルと出会った。自称大正生まれのハルは、幽霊が見えず存在を信じてない理屈っぽい理系大学生の豊に、奇妙な“慰霊”のアルバイトを依頼する。彼女の正体と、この街の秘密とは――。モラトリアムの青春を爽やかに描く、すこし不思議なジェントル・ゴースト・ストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
275
4章からなる連作+プロローグ、エピローグ。タイトルからもう面白い。オカルトファンタジーの様なSFの様なコメディ。それがいつしかミステリを含む様な感じになるんだよね。第1章を読んで、霊媒師のハルさんはこういう設定かなぁ〜、なんて予想してみたけど違っていたし、湯葉さんの創った設定の方が不自然さが無くて良いですね。巧い。主人公である豊くんの思考ルーティンが、全く一緒と言う訳では無いけど、似た所があってなんかこそばいの。儂の場合、疎遠になっている人々もありますが、嫌な思いをさせての事では無いと信じたい。2024/10/25
tonnura007
78
理系大学生の谷原豊は曾祖母の死をきっかけに霊媒師鵜沼ハルと出会う。幽霊を信じないのに霊媒の手伝いを始めることになる。ハルは曾祖母と同窓であり大正生まれというが見た目にはそうは見えない。これは一体どういうことか。 人の気持ちを理解できず理屈っぽく非科学的なことは信じない豊が、自身の対極ともいえる霊媒を通じて心情が揺り動かされるようになっていく過程が良い。 自分も豊と思考回路が似ているようで、昔から考えていたことが豊の考えに出てきて驚いた。そういった意味でも物語に没入できたと思う。2024/08/19
yukaring
73
爽やかで少しほろ苦い青春ゴーストストーリー。祖母の死をきっかけに祖母の友人だった女性・鵜沼ハルに出会った大学生の豊。幽霊を全く信じないのに霊媒師である彼女の仕事を手伝うことになったのだがその仕事は全く予想と違っていた。「霊と対話をするためには霊を安心させる必要がある」と溺れた霊に救命道具を投げ病気で亡くなった霊には薬を渡す。霊を信じない大学生の奇妙な慰霊バイト生活。異様に若いハルの正体や町に隠された秘密。不思議な春を過ごした豊の決断は…。この町は彼が育った時間を忘れない、1人の青年の成長譚でもある物語。2025/06/29
がらくたどん
68
若者らしい結構一本気な唯物指向の理系大学生「休講Botの谷原くん」のひと夏の霊媒師助手バイトの日々と彼の精神的な成長を描く青春コメディー。表題はライト文芸のお作法宜しく「設定丸っと開示」だが表紙下方に書かれたゴマ粒のような英文が芯を吐露する。「科学は幽霊の存在を認めないけど、たまに幽霊は科学の価値を信じるよ」みたいな感じ。これを読むと断然ゴーストの方が懐のでかい大物に思えてくる。で、「幽霊」は人の気持ちとか記憶とかの定量化できない曖昧なエネルギーを含意しつつ谷原君の精神的支柱の可動域を増幅する。愉快だった2025/05/30
ままこ
64
タイトルからどんな話かと興味を持つ。人の感情を読み取ることを苦手とする理屈っぽい大学生の豊。亡くなった曽祖母の友人だという霊媒師のハルさんから“慰霊”のバイトを持ちかけられる。その慰霊の方法も変わっていた。偶然怪しい現場を目撃した高野さんの独自のスタンスも良かった。ちょっと不思議なハルさんに出会ったことをきっかけに視野が広がっていく。考え方が違っても相手を尊重し、柔軟な思考を持つ大切さが伝わってくる。天才肌だが驕らず何事にも真摯な豊が好もしい。ハートフルなモラトリアム幽霊小説。面白かった。2025/05/30
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