内容説明
その来歴から「名物刀剣」と呼ばれる、おもに平安~南北朝時代の日本刀。武器としての特徴、美的要素、近世における権威や家の象徴の関係性に着目し、歴史的遺産としての独自性を考える。謎の多い『享保名物帳』を読み込み、仏教美術、有識故実、刀装、茶の湯道具との関係など、学際的な視点から名物刀剣の特徴を分析して、新たな魅力に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サケ太
16
名物刀剣とは美術品か、武器か、権威の象徴か。刀剣がどのような価値観で語られてきたのか。刀剣に期待されていたもの。それが徐々に変遷していく過程。種類や誕生を改めて読めるのはありがたかった。刀身彫刻という存在。戦国時代という転換期から江戸時代に至り、評価が明確化され、権威化していく。時代の中で、矛盾した要素を含む様になった名物刀剣。刀剣に対して更なる興味が沸いた一冊。2024/07/04
えぬ氏もわるよのぉ
9
安土桃山時代の茶席で刀剣が披露された記録がいくつもあったのが興味深かった。現代の常識では茶席に刀を持ち込むのは考えづらいが、秘蔵の茶器を自慢するのと同じような感覚だったのだろう。2024/08/11
眉毛ごもら
2
みんな大好き名物刀剣について。とても読みやすいのに情報量が多い大変ありがたい本。基礎から打刀の発生、享保名物帳含む名物刀剣の受容のされ方についてなどなど地味に気になる案件多し。室町時代に柄巻すんの流行ってるけど公の場でやるのはやめろとかは近頃の若者論ぽくて良い。伊勢家や小笠原家の故実家の記録に色々残ってたり茶会の記録に残ってたりするらしく調べること多いなと改めて思ったり。物吉の名前って結構あとについたの?!とかへし切長谷部の漢字の別表記とか刀剣乱舞やってたらびっくりすることも多く勉強になる良い本であった。2024/06/09
Go Extreme
1
定義: 日本刀文化 刀工技術 歴史的背景 文化的遺産 武器と美 名付け基準 伝説と逸話 美的要素と技術: 刀身彫刻 刃文の種類 地鉄の質 造形美 宗教的象徴 密教彫刻 不動明王 権威と評価: 武士の象徴 権力の証 贈答品制度 本阿弥家鑑定 折紙制度 公式評価基準 政治的利用 日本刀の変遷: 古墳時代の起源 平安鎌倉の発展 戦国期打刀の普及 太刀から打刀への転用 脇指の普及 江戸の名物刀剣評価 戦国と文化: 茶の湯文化 軍事的役割 刀剣美術品化 社会的地位の象徴 江戸時代の制度化 名物刀剣の鑑定基準2025/03/18