内容説明
「王室」がわかると世界史がわかる!
「王」と「王室」は、国や民族の発展や秩序の源泉となる一方で、崩壊や退廃を招く要因ともなりました。歴史の最大の「当時者」であり、民族や国家がどう行動してきたかを象徴する存在、それが「王」と「王室」です。
本書は、世界各国の成り立ちから、国民性、現代の複雑な世界情勢まで、現存する27の王室だけでなく、古今の断絶した王室の姿を紐解くことでつかむ、新しい世界史の本です。
なぜイギリス王室は残り、フランス王室は途絶えたのか。なぜ日本の皇室だけが“万世一系”を守れたのか──。史上の王と王室の栄枯盛衰を追いながら、国家や民族の特徴と人類の本質を浮き彫りにしていきます。
好評『「民族」で読み解く世界史』の姉妹編です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みき
51
世界の王族史といった本。イギリスやフランスなどのメジャーどころの王室から東南アジアやアフリカなどのマイナーな王室の歴史を学ぶことができる。今王室が残っている国とそうでない国の歴史的な経緯は面白く読むことができた。なかなかこういう国の王室は学ぶことが難しいので有難い本。天皇がなぜEmperorと呼ばれているか、KingとEmperorの違いとはなにか、そういったことに知的な関心がある人は知的好奇心が刺激されること請け合いです。個人的にはタイの王室が石油産出国の王室より資産をもっていることが意外でした2024/02/16
かめりあうさぎ
32
初読み作家さん。世界中の王室の歴史をざざーっと紹介すると共に、現在の日本の皇室の存在意義について考える一助となっています。ヨーロッパ、中国、朝鮮、中東、アジア、インド、アフリカ、アメリカ、と各章に分けて解説。日本はやはり島国であることの地の利もあり、ここまで長く皇室の歴史を作れてきたことに感謝したいなと思いました。文章は平易なのでわかりやすいですが、著者の立ち位置が透けて見える部分もあるので、同じテーマの他の本も読む必要はあるかなとは思いました。2020/02/12
南北
23
王室を切り口にして、世界史を概観した本です。著者はあとがきで「王(皇帝)が辿った歴史はその国の、また、その国民の「履歴書」である」と述べていますが、こうした観点で世界の王室と日本の皇室を考えてみるのも大切なことだと思いまし、国際情勢を知るための切り口としても役立つと思います。2019/03/22
びっぐすとん
20
図書館本。うーん、確かに世界の王室の歴史について一通り知ることが出来るのだが、どうにも背後に著者の思想がちらついていて、読んでいて落ち着かない。私だって日本人として長い歴史を持つ皇室には敬意を持っているし、誇らしいことだと思っているけど、外国の王室を貶めて日本を持ち上げる発言は恥ずかしい。そもそも王族でもない人間が、どこの国であれ王族を非難する資格はない。外国人が皇室を批判したら著者だって不愉快だろうに。歴史だけ把握するに留め、著者の個人的思想はスルー。2020/02/12
六点
19
キンドルにて読了。 世界の現存の王室、失われた王室を通覧するには良い本である。ブラジル帝室のように自由主義的政策を支持しても、帝位を追われることがあり、直接的政治関与はどのようにしても難しいものであるなと感じる。さりとて、急進的政策を廃していけば、ロシアロマノフ帝室のようにほぼ皆殺しの憂き目にも遭うのだ。統治の正統性の目に見える象徴である事が如何に難しいのか理解できる。「フランス人は殺した王の首を探し続けている」と俚言にあるが、統治の正統性の分裂を中世に解決できた日本は、著者と違った意味で幸福である。2019/12/13