ちくま学芸文庫<br> 日本の裸体芸術 ――刺青からヌードへ

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ちくま学芸文庫
日本の裸体芸術 ――刺青からヌードへ

  • 著者名:宮下規久朗【著者】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 筑摩書房(2024/05発売)
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  • ISBN:9784480512284

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内容説明

幕末に来日した外国人たちがこぞって驚くほど、日本には裸が溢れていた。理想化されない自然な身体イメージを享受してきた日本人は、江戸末期に初めて西洋の理想的身体であるヌードに出会い、近代化の過程で葛藤と苦難を体験する。本書は生人形や淫靡な錦絵を生んだ幕末の驚くべき想像力、日本という環境で日本女性を描こうとした洋画家たちの苦悩、戦後日本中に乱立したヌードの公共彫刻、海外で高く評価される日本独自の身体芸術・刺青など、さまざまなテーマを横断し、裸体への視線と表現の近代化をたどる異色の美術史。文庫化に際し大幅な加筆を行った増補版。

目次

序章 ヌード大国・日本を問い直す/禁じられた日常生活の裸/ヌード彫刻の氾濫/日本の近代美術とヌード/第一章 ヌードと裸体──二つの異なる美の基準/1 理想美を求める西洋ヌード/裸体への羞恥心はいつ生まれたか/ヌードとネイキッド/理想美の具現/ヴィーナスの復活/男性ヌードの衰退/寓意表現としての人体/ありのままの裸体/造形性の追求/ヌードとエロティシズム/クラーク論の再考/2 江戸の淫靡な裸体表現/日本における裸体習俗/仏像の裸体/風俗としての裸体/浮世絵に見る面の美/なぜ全裸ではないのか/死体や解剖図/応挙の正確な描写/第二章 幕末に花開く裸体芸術/1 菊池容斎の歴史画/歴史画の確立/浮世絵からの影響/私的空間で鑑賞/2 生人形に見る究極のリアリズム/生きて見えるような人形/性的な魅力/リアリズムの追求/喜三郎の並はずれた力量/海外に流出した生人形/欧米人の高い評価/明治以降の衰退/生人形が残したもの/3 過渡期の折衷的な作品群/解剖学的な裸体図の流行/西洋ヌードの模倣/人体表現の教育/洋画家による本格的なヌード画/第三章 裸体芸術の辿った困難な道/1 明治期の裸体画規制/裸体禁止令/近代国家の風俗統制/裸蝴蝶論争/仇花となった石版画/横浜写真の流行/残虐趣味の錦絵/裸体画討論会/2 ヌード受容の限界/博覧会での衝撃/女性イメージの近代化/腰巻事件/取り締まりの強化/「美術」の特権性の普及/中国や韓国の事情/芸術家と権力との戦い/第四章 裸体への視線──自然な裸体から性的身体へ/1 見えない裸体/見えていても見ない/混浴を拒絶する西洋人/裸体が性的となる状況/性的身体の普及/羞恥心の内面化/日本人の身体観/裸体と「美術」の衝突/2 ヌード制作の障壁と成果/モデルの問題/前衛的な裸体表現/日本的ヌードの確立/大正の裸体主義/画面設定に関する問題/自然な設定の模索/天女という主題/肉体の前景化/象徴的な裸体/甘美なものから個人的なものへ/伝統からの断絶と継承/後ろ向きの裸婦/作家とモデルの親密さの表出/第五章 美術としての刺青/1 歌川国芳の刺青画/美術史から抜け落ちた刺青/日本の刺青の歴史/刺青芸術の開祖・国芳/多彩なモチーフ/芝居における刺青/役者絵の確立/2 生きた芸術のはかない運命/刺青禁止令/世界に誇る技術/洋画家たちの挑戦/刺青画の衰退/生きた芸術ゆえの困難/刺青の再評価/3 刺青からヌードへ/反社会性の象徴/単なる裸体を美的対象へ/人間性との一体化/裸体を見せる装置/仮面の役割/社会性と個人性/ぬぐいきれないヌードへの違和感/刺青写真の魅力/終章 裸体のゆくえ/芸術としてのヌードの現在/現代日本のヌード/芸術の勝利/神戸のヌード彫刻/未完のヌード芸術/イメージの中で復活/補論──その後のヌードと刺青/ヌード意識の変化/ヨーロッパにおける刺青受容/日本の刺青裁判/注/あとがき/文庫版あとがき/解説 裸体に描くから裸体を描くへ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

62
いや、面白い。美術とは切っても切り離せない関係にあるヌード。本書は明治以来西洋の価値を輸入した日本がどのようにそれを受容してきたかを考察した一冊である。個人的には生人形と刺青の美に興味を持っているので、その二つに触れた部分は特に面白く読む。あと日本のヌードは明治以前に会った豊饒な裸体の数々を禁止し美術という概念上だけで許可したために、枯れ枝に残った葉のような貧弱なものになってしまったような印象。といって昭和に乱立した裸体像はまた違う気もするし。とあれ近代日本美術の裸体通史としても面白く読めました。2025/01/14

やいっち

57
こうした話題は芸術云々に関わりなく大好き。ヌード雑誌や写真集も少なからず手にしてきた。芸術家や研究者らのいかにして日本においてヌードを芸術にし得るかという悪戦苦闘を脇目に、裸体の絵画や写真に惹きつけられる。 2024/03/27

die_Stimme

4
『刺青とヌードの美術史』の文庫化。美術史が専門の宮下先生の著作だけど、近代日本文化史に関心のある人に広く読まれて欲しい名著だと思う。2024/05/03

やいっち

4
仕事の車中の楽しみで読んできた。こうした話題は芸術云々に関わりなく大好き。ヌード雑誌や写真集も少なからず手にしてきた。芸術家や研究者らのいかにして日本においてヌードを芸術にし得るかという悪戦苦闘を脇目に、裸体の絵画や写真に惹きつけられる。2024/03/27

kaz

3
気になった部分を飛ばし読み。西洋と日本との裸体に対する考え方の違いは興味深い。図書館の内容紹介は『美人画や刺青画、生人形など、生身の人間性を感じさせる日本固有の裸体芸術が、明治期に、人格を除去し肉体を誇示した西洋ヌードと出会い、劇的に変容する様を描いた異色の美術史。大幅に加筆し文庫化』。 2024/06/16

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