岩波文庫<br> 支配について Ⅱ - カリスマ・教権制

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岩波文庫
支配について Ⅱ - カリスマ・教権制

  • ISBN:9784003421024

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内容説明

カリスマがいなくなった後も,支配は続いていく.その支配を支えるものは何か.ウェーバー没後に編集された『経済と社会』のうち,『支配の社会学』として知られてきた部分を全集版に基づき訳出.支配の前提と諸構造を経済との関連で論じたテクスト群である.関連論文のほか,詳細な訳註や用語解説,索引を付す.(全二冊)

目次

凡 例
カリスマ
[1]カリスマ,価値から自由な定義,ベルセルク
[2]カリスマの根拠,経済に無頓着な性格
[3]不安定
[4]支配される側の人たちによる承認とカリスマの物象化
[5]王権の発展
[6]武侯
カリスマの組み替え
[1]カリスマの革命的性格,支配される側の人たちのメタノイア(回心)
[2]カリスマの非日常的性格,「資本主義的精神」の二重の性格
[3]マイスターとフォロワー・信奉者の関係
[4]カリスマとコミュニズム
[5]物質的利害の重圧によるカリスマの窒息死
[6]カリスマの日常化・制度化
[7]カリスマと伝統の同盟
[8]トップの選抜
[9]後継者問題
[10]ブッダの弟子
[11]ダライ・ラマ,ローマの政務官,元首政
[12]承認とアクラマツィオーン(歓呼賛同)
[13]近代的な意味での選挙との違い
[14]多数決原理
[15]人民投票(プレビシット),少数者支配
[16]アクラマツィオーン(歓呼賛同)から選挙へ
[17]代議制,カネの権力,喋りのカリスマ
[18]官僚制化とカリスマ的英雄崇拝
[19]政党と名望家
[20]政党における官僚制とカリスマ
[21]主義なし政党とカリスマのチャンス
[22]支配の継続的性格
[23]カリスマの物象化
[24]血統,氏族国家,日本の場合
[25]氏族国家の痕跡
[26]定期的な礼拝と血統カリスマ
[27]長男子相続制,世襲
[28]先祖によるレジティメーション(正当化)
[29]官職カリスマ
[30]ローマ司教のカリスマ
[31]ピューリタニズムによる官職カリスマの拒否
[32]カリスマ的教育,専門教育へのアンチテーゼ
[33]騎士教育と祭司教育
[34]ヘレニズム,オリエント,西洋
[35]ヘレニズムとローマにおける祭司的な教育システムの不在
[36]中国
[37]教育と特権と富裕層
カリスマの維持〔および規律〕
[1]カリスマの消滅
[2]規律と熱狂
[3]軍隊と規律
[4]軍隊の経済的土台と規律
[5]経済の分権化と規律の弱体化,傭兵から国民皆兵への過程と規律の強化
[6]戦争の経営手段の集中と大衆の規律
[7]大企業の規律化,科学的管理法
[8]普遍的な現象としての規律化,カリスマ・個性的行為の抑制
[9]既得権をレジティメーションするカリスマ
[10]後見を付ける必要性と隔離されるカリスマ
[11]責任を肩代わりする大宰相
[12]イギリスの議会制王政
国家と教権制
[1]無力な君主と宗教
[2]祭司層による認証
[3]教権制の定義,市民と宗教の選択的親和性
[4]皇帝教皇主義
[5]妥協
[6]レジティメイトな政治権力の基礎にあるミニマムな神政政治的あるいは皇帝教皇主義的要素
[7]世俗的な国家に織り込まれた宗教的なモチーフ
[8]救済宗教への発展の阻害
[9]教会
[10]教会による教育,臣民の提供
[11]弱者保護
[12]官職と人の対立,修道院の誕生
[13]修道院に特有の生き方としての禁欲
[14]経済に敵対的な修道院による卓越した経済的な成果
[15]修道院と政治権力
[16]修道院と教権制的官職カリスマ
[17]修道院と妥協する教会
[18]修道院の発展
[19]イエズス会と禁欲の合理化
[20]修道士とローカルな教会勢力の競争
[21]政治的カリスマと魔術的カリスマ
[22]宗教と妥協
[23]政治権力と教権制的権力の同盟
[24]偶然,自然災害(地震),教権制と市民層,教権制と封建的勢力
[25]都市市民層と宗教の内面化・合理化
[26]荘園領主的・封建的権力と経済
[27]経済発展に対する教権制的支配の意義
[28]教権制と経済的な利害対立
[29]ビザンツ様式の修道院の寄進
[30]修道院と市民の競争
[31]後退する教会のビジネス,教皇庁の損失,ルルド
[32]宗教の始まりと支配構造
[33]資本主義への反感
[34]パーソナルなものを介在させない資本の支配,「主人なき奴隷制」
[35]経済的なコスモスに対する宗教的な理念の無力,物象化とカリタス
[36]利子の禁止をめぐって,モンテス・ピエタティス
[37]西洋文化の特性は「統一文化」でないこと
[38]教権制と市民的合理性の対立,教会傘下へと結集する伝統主義的な階層
[39]教権制と労働運動
[40]近代民主主義と教権制
[41]信仰の分裂,市民層の宗教意識
[42]ルター派
[43]カルヴィニズム
[44]ユダヤ教
[45]「人種的」要因
[46]メルクスとゾンバルトへの反駁,誓約連合
[47]ユダヤ教,ピューリタニズム,近代資本主義
[48]ゼクテ(教派)の政治社会学
[49]アメリカのデモクラシーは個人の砂の山ではない
[50]国家と教会の分離
[51]ゼクテ(教派)と民主主義・人権,理性のカリスマ的聖化,資本の論理の解放
【付録1】レジティメイトな支配の三つの純粋類型
[1]支配とレジティマシー
[2]合法的支配
[3]制定されたルールによるレジティメーション
[4]民間企業
[5]合法的支配の最も純粋な類型としての官僚制
[6]合議制
[7]伝統的支配
[8]伝統的支配の行政スタッフの二つの形式
[9]家父長制的構造
[10]身分制的構造
[11]家団体,恭順
[12]伝統と恣意の並存,福祉国家
[13]官僚制以前の国家社会学,家父長制と身分制
[14]身分制的支配と合法的支配
[15]カリスマ的支配
[16]古代キリスト教のゲマインデ,デマゴーグ
[17]カリスマによって要求される「承認」
[18]カリスマの証明
[19]主人と行政スタッフ
[20]カリスマの日常化
[21]一定の標識による後継者探し,ダライ・ラマ
[22]神託,くじ
[23]指名
[24]カリスマ自身による後継者指名
[25]ゲマインデによる指名と承認
[26]信仰対象の移行
[27]世襲カリスマ
[28]長男子相続権
[29]伝統主義化
[30]カリスマの儀式的物象化
[31]秘跡的行為
[32]カリスマの反権威主義的解釈替え,民主的レジティマシー,カリスマの官僚化
[33]票によるレジティメーション
[34]カリスマ的リーダーと官僚化した政治家
【付録2】国家社会学の諸問題
(一九一七年一〇月二五日,ウィーンでの講演,『新自由新聞』の記事)
[1]国法学的アプローチと社会学的アプローチ
[2]合理的なルール,伝統的権威,カリスマ,支配される側の人たちの意志
用語
訳者あとがきⅡ
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

91
ウェーバーの「支配について」の後半で、「カリスマ」「教権制」について述べられています。昔読んだ時よりもはるかに読みやすくわかりやすくなっています。節ごとに小項目ごとに分けられています。カリスマについては「カリスマの組み替え」という個所が過去のカリスマが登場してきて性格がかなり変わってきたことなどが述べられています。用語の解説と訳者によるあとがきがかなり参考となっています。2024/05/15

逆丸カツハ

31
うむ。全貌を把握したとは言えん…(汗)人間の社会の仕組みは昔からあるものは、ずっと昔からあるのだなぁ。テクノロジーが発達しても人間は発達していない、知識や常識の発達は人間性の成長を意味しない…。2025/10/12

bapaksejahtera

16
第一次大戦後に執筆、没後に刊行された「経済と社会」のうち「支配の社会学」として知られた部分を、文庫二冊に分けて刊行した新訳。本巻はカリスマ支配等を述べる。昔古い本を理解半分で読んだが、本書は原著を項立て再構成、各種注釈や索引があって実に判り易い。晩年の著作らしく、所謂プロ倫等主要論文の縮略的な記述(ルター派ではなくカルヴィン派である理由を含め)や、本書の付録も含め理解を助ける「重複」もあり有難い。米国訪問の後という事から、同地のキリスト教宗派等への好意的な評価が興味深い。日本関連記述の引用源も今回判った。2025/12/22

Ex libris 毒餃子

11
IとIIを合わせて読んでみて良かったです。後半は特に宗教社会学の毛色が強い。ヴェーバーの研究の集大成となっていると感じた。2024/12/03

ぷほは

11
とにかく議論に収まっている歴史の射程がえげつない。副題から想定される古代~中世の事例を軽々と飛び越え、たとえばヘンリー・ヴィラードの「ブラインド・プール」(52頁)が合理的経営とカリスマ的商売の対立事例として登場し、父リッケルトの名簿所持がカリスマと官僚制の対立としての、ドイツ自由思想家党の分裂の要因として例示される(94頁)。さらには植民や軍隊編成に変わる合理的運営の最新事例としてテイラーシステムが言及される(124頁)。歴史家に収まらない、同時代に対する感度の高さがこの人を社会学の巨人たらしめている。2024/01/28

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