内容説明
ロシアは過去一〇〇年ほどのあいだに、帝政から共産党独裁へ、そして大統領制国家へと変転を遂げた。だが、ロシア史を貫く基本構造は同じである――。ロシア史を大づかみにとらえた上で、ロシア革命期の自由主義政党カデットや社会主義者最左派のボリシェビキの活動の実態から、プーチン政権の権力のあり方までを考察。そこに生きた人間の運命を通して、世界史の今後にとって大きな意味をもつ「ロシアとは何ものか」を見極める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
塩崎ツトム
20
ロシア国家の権力構造がなぜ法治ではなく人治になってしまうのか。そしてその結果、各時代のツァーリが代替わりするごとに政策がほぼ180度ずつ変わってしまうのか。それを歴史的流れから解説。小論集なので先にある程度ロシア史の知識がないとむずかしい内容。2024/12/15
coolflat
20
18頁。ボリシェヴィキが臨時政府を倒し、ソヴィエト体制が成立した。身分制は確かに公的に廃止され、「市民」がロシア住民の一律の地位となった。だが、有産層など一部の住民は市民権を与えられなかったし、労働者と農民の間でも前者に有利になるように選挙制度に格差がつけられた。つまり新たに形成されるべきソヴィエト市民とは、全員が等質の権利と義務をもったフランス革命型の市民ではなく、集団ごとに権利と義務が異なる点で、身分制と相似的なのであった。ここに近現代ロシア史における顕著な特徴を見出すことができるように思われる。2024/12/11
鯖
19
どうにも読みづらかったなあ…。学生の頃、ゲマインシャフトからゲゼルシャフトへという流れを勉強した記憶はうっすらあるし、独裁者が法よりも上位であるというのは現状よくわかる。中世のままなんだろうなというのも。中東にせよ、インドにせよ、ロシアにせよ、同じような状態な気もする。ただそれは欧米の観点からみて劣っているということなんだろうけど、ならイスラエルはええんかいというアレがなあ…。ウクライナはロシアが作った国だからロシアの好きにしてよいのだと断言するプー。はよお迎えが来てくれんかな。2024/08/22
かんがく
9
ロシアについて、クリミア半島、ロシア革命、プーチン政権、ソ連崩壊など様々な切り口で分析した論集。民族主義的な要素を強く持ち、西欧的価値観と対峙する強国であることがわかった。2025/05/14
バルジ
3
ロシア史を規定する権力関係や権力者の「時間」、またヨーロッパとの関係を歴史的な視座より「過去が貫く現在」としてのロシアを描き出す。ロシアの権力構造は日本人の想像する権力とは大いに異なる。まず「法治」からして法が権力を縛るのではなく、権力者が「法」を用いて統治するという統治者中心の概念であり、歴史的にもその統治を縛る発想は生まれにくい構造である。そうした権力者はやがて法とと共に横軸縦軸を駆使した人的ネットワークで自身を頂点とする権力構造を作り上げる。一見ミクロな各論考も実はマクロの視座で貫かれる良書である「2025/01/05
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