内容説明
ゾンビになっても未来は明るい。人間の時よりも元気な身体になるし、宇宙飛行士(※酸素や新鮮な食料を必要としないゾンビは、宇宙船や月面基地での仕事に適しています)にだってなれる。
ゾンビだって恋をする。バレンタインデーにはクラスの気になるあの子に、ライバルより高級なゴルゴンゾーラ(※ゾンビは新鮮な食品を嫌いますが、発酵食品は人間と同じものを食べられます)をあげたい。
ゾンビ誕生から「歴史完成」に至る、人間とゾンビの宇宙興亡千年史!
※2519年6月20日「新人類憲章」の成立により、長年差別的であるとされてきた「ゾンビ」という呼称は廃止されました。本書では当時の時代背景と本書の資料的意義を考慮し、一部表現をそのまま掲載しています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yukaring
73
「ソンビになってしまったけど、何をどうすればいいかわからない」そんな人へ向けた親切なマニュアルから始まる斬新なゾンビのSF千年史。ウィルスによる感染が拡大した世界。最初はゾンビになって絶望していた人々もゾンビの割合が人口の4割を越える頃には人権を求めてストライキを実行。酸素や新鮮な食料を必要としないゾンビの需要は日に日に高まり、もはや月面基地や火星の植民地で働く人は皆ゾンビという状態。そしてとうとう人間が滅亡しゾンビが全てとなった後は…。千年をかけたゾンビと人、ロボットによる宇宙興亡が壮大で奇妙な物語。2025/07/10
ポチ
42
ゾンビになった女子高生の話かと思いきや、1000年をかけた人類とゾンビそしてロボットのSFショートショートだった。意外と楽しめました。2025/01/30
よっち
34
「新人類憲章」成立により、長年差別的であるとされてきた「ゾンビ」という呼称は廃止された世界。ゾンビ誕生から「歴史完成」に至る、人間とゾンビの宇宙興亡千年史。冒頭の主人公JKにゾンビの陽性反応出る頃には、すでに全人口の四割を占めるまでになっていて、すっかり整えられたゾンビになってからの生活。過去と未来の様々な人たちのエピソードを積み重ねていきながら、じわじわと新人類がこれまでの人類を侵食していく様子が描かれていて、身体構造が変わり果ててしまっても恋もするし、いろいろと想像の余地をもたせた世界が印象的でした。2024/07/02
和尚
22
不思議な感覚を得られる、タイトルでの最初の想像に反してホラーでもパニック系でも無い、近未来SF風味の物語でした。 ゾンビというものの存在が確認された世界で滅亡までのゾンビとなった人々の一瞬が様々な時代と視点で切り取られた場面集。 人を襲うわけではなく、空気感染も接触感染もしなければ、理性を失う事もない。寿司や刺身は食べれず、新鮮な水は苦手だが、ゴミは食べられる、宇宙開発にも向いている。 発見から嫌厭、差別、人権、転換点。 能力と引き換えに生命の輪から外れた彼らの、滅びへの歴史。 2024/06/23
こおき
20
★★★★★ 電撃文庫の真骨頂をここに見たり。ゾンビという新たな人類の登場によって変質し発展しそして終わりへと近づいていく「人類」の千年間を、群像劇的に多方面から眺めていくラノベの枠を明らかに越えた硬派なSF短編集。「ゾンビ」のワードからまさか宇宙モノや終末ロボットモノまでをもテーマとして含んだ壮大なSFが出てくるとは流石に予想できなかった。電撃は時々こういうキャラクター性に代表されるラノベらしさをどこかに残しつつも他とは一線を画した特異なラノベを世に出してくるが、これはまたすごいのが出てきたな。2024/08/17
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