内容説明
賭け事にとり憑かれた生粋のギャンブラーが一目惚れしたのは、魂を救済するため布教活動に従事する清廉な美女だった――。『ガイズ&ドールズ』の題名でおなじみのミュージカルや映画の原作者として知られ、ブロードウェイを舞台に悲喜こもごもの人間喜劇を描き続けたデイモン・ラニアン。ジャズ・エイジを代表する短篇の名手の歴史的デビュー作品集を、オリジナル収録そのままに紹介する。(解説・小森収)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
34
1930年代のブロードウェイが舞台となる悲喜劇を描く短編集。本書で著者のことを知りましたが、彼の作品は舞台上演を通して歌劇界では名が知られているようです。大抵のストーリーは良くも悪くも喜劇的で、酒やギャンブルによる堕落描写は話のスパイスとして丁度いい。読んでいて不快になる程ではなく、世界恐慌直前の浮かれた雰囲気や登場人物たちの喧噪それ自体がドラマになっている。たとえばO・ヘンリーの短編とはまた違う趣の短編集でした。邦訳は数十年ぶり、酒やギャンブルに男女関係やジャズとくれば読みたくなりそうなものですが。2024/06/05
くさてる
19
いや面白かった。1930年代のアメリカ、ニューヨークを舞台にしたならず者たちのドタバタ騒ぎの短編集。荒っぽい話かと思いきや、アメリカらしいホラ話のニュアンスもあり、ハートウォーミングな落ちが用意されていたり。仲には日本の漫画やドラマで何度も見たことがあるシチュエーションもあって(「マダム・ラ・ギンプ」)驚いた。ミュージカルや映画の原作として知られる、というのも納得のお洒落感と人情ものが絶妙なバランスでした。おすすめ。2024/09/26
Mof
6
ブロードウェイのナイス・ガイ達の短編集。一話一話が短いので、さくさく読める。だいたいの話はハッピーエンド。さくさく人が死ぬのだけど、舞台から役者が退場するかの如く、あっさり死ぬからそれ程悲しくならない。読んでいるとサックスの音楽が聞こえてきそうだと思ったら、ミュージカルになっていたらしい。絶対面白い。読めば読むほどに、日本の落語に似てる気がしてくる。総括、面白かった。2025/04/12
shimuratakeda
5
めっちゃくちゃおもしろかった。他のも読みたい。(あまりにひどい感想)2024/09/25
卍ザワ
2
新潮文庫で新刊されるだけあり、職人芸の筆勢とプロットなのだが、卑近の犯罪小説に読み慣れた自分には、少々伏線を弱く感じ、それゆえか、登場人物やら風俗描写の時代性が気になってしまった。発表された当時は、描写される風俗も最新で、すごく人気があったんだろうな、と偲ばれる。アメリカ人が、本書を英語で、そのまんま読んだら、また違った感興を覚えるんだろうな。2024/07/28