内容説明
電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。
オットー一世の皇帝戴冠(九六二年)を起源とする神聖ローマ帝国は、ドイツを中心に周辺へと領域を広げた。皇帝位は一四三八年以降、ハプスブルク家がほぼ独占。十六世紀に最盛期を迎える。宗教改革、三十年戦争といった混乱を経て帝国は衰退し、一八〇六年に消滅した。弱体に見える国家が八五〇年も存続したのはなぜか。叙任権闘争など、皇帝と教皇の関係はいかなる推移をたどったのか。捉えにくい「大国」の実像に迫る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
78
特に18世紀以降はその存在すら見えにくい、非常に捉えどころのない帝国について、制度史を中核に据えて位置づけ直そうとする労作。通常の国家からイメージされる、民衆を統治する機構とは異なり、ある意味国家を束ねるものとしての帝国であったことが明らかにされる。なるほど現代のEUに通じる面があるわけだ。18世紀プロイセンの台頭とハプスブルク=オーストリアとの対立が帝国をぼんやりした存在に追い込んでいった様子もよく分かる。さらに金印勅書・ウェストファリア条約・永久帝国議会等の内容も詳しく書かれ、得るところの多い書だ。2024/05/17
サアベドラ
37
ヴォルテールが「神聖でもローマでも帝国でもない」と断じた政体が、それでもなぜ神聖ローマ帝国と名乗ったのかを解説する新書。2024年刊。著者の専門は国制史。同国を扱った新書は菊池良生 (2003) があるが、そちらは人物中心でエピソード的であるのに対し、本書はより体制の記述が中心で、皇帝や聖俗諸侯がなぜこのような国の形を必要としたかに重点を置いて記述されている。部族大公に始まり選帝侯や現代の連邦制に至るまで、ドイツは他の西欧国家に比べてより分権的な遠心力が強かったことが全体を通して改めて実感させられる。2024/11/24
よっち
37
弱体に見える神聖ローマ帝国が850年も存続したのはなぜか。教皇や選帝侯、周辺国との関係を絡めながら、捉えにくい大国の実像に迫る1冊。オットー一世の戴冠に始まり、1438年以降はハプスブルグ家がほぼ独占。16世紀に最盛期を迎えた後、宗教改革や三十年戦争などの混乱を経て衰退していった帝国の統治制度や選帝侯の推移や宗教事情といった国内の変遷、諸外国との関係により振り回されざるをえない背景や、台頭してきたプロイセンやナポレオンとの対立の中でその存在感を失っていく様子から神聖ローマ帝国を解説した興味深い1冊でした。2024/05/29
kk
35
図書館本。オットー一世の戴冠からナポレオン体制下での帝国解体に至る神聖ローマ帝国の歩みを、聖俗関係と国制論争に着目しながら一般読者向けに概説する試み。時代を画した重要イベントとして、叙任権闘争、金印勅書、アウクスブルクの和議、ウェストファリア条約、プロイセンの台頭、フランス革命の影響等にフォーカス。国民国家の発展を第一義視する従来の論調とは異なる立ち位置から帝国史を鳥瞰しようとするもの。読み易いか否かはともかく、何かと気付かされることが多い一冊。2024/05/26
ぽんすけ
29
神聖ローマ帝国というと世界史で習っていた時もいまいち掴みづらいものだったのだが、この本を読んでなぜそういう感触を持ったのかが分かった。帝国というとローマ帝国然り、モンゴル帝国然り、皇帝の存在感が大きく、尚且つ中央集権的な体制になっていくものだという印象があったが、神聖ローマ帝国にあっては、いくつもの領邦国家が時に和解し時に争いながら皇帝をトップとして一応纏まるといった印象を受けた。実情は全く違うが日本で言うところの室町幕府みたいな感じだ。幕府を動かすのは様々な役職を担った有力守護大名で、将軍家自体は脆弱2026/01/15




