内容説明
平安中期、一条天皇の中宮定子に仕えた清少納言が、宮中での生活を才気煥発な筆で綴った傑作随筆集。類聚、随筆、日記などの章段に分類された同書が、エスプリの効いた現代語訳で甦る。全2巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
183
意識高い系インフルエンサーによる情報発信。知識自慢、中宮様崇拝、好き嫌い。現代なら炎上しそうな内容もあって、そこが平安の世で結構受けたんじゃないでしようか。大河ドラマ「光る君へ」の登場人物、藤原道長(柄本佑)、道隆(井浦新)、宣孝(佐々木蔵之介)、伊周(三浦翔平)、隆家(竜星涼)、斉信(金田哲)たちも出てきて、清少納言目線でのエピソード·コメントが楽しめます。そういう意味では、読み直すベストタイミングです。2024/11/02
あきぽん
44
「光る君へ」によれば中関白家の没落後、失意の定子を慰めるために書いたそうだけど、これは大勢の読者からいいね!をもらうために書いたソーシャルメディアのようだ。ルッキズムなどマスメディアでは放送禁止なことも書いてるし、平安貴族を身近に感じる。辛い現実を吹き飛ばすように読者を楽しませることに徹しつつ、自己アピールも怠っていないのはさすがの清少納言姉さん。ネガティブなことは書かないようにしているのもSNSっぽい。2025/05/27
コニコ@共楽
20
『源氏物語』を読み、他の平安ものも読んでみたくなりました。”春は曙”で始まる枕草子は、誰も古文の時間に見聞きしたもの。清少納言がどんなものを書いて今まで読まれてきたのか、当時のブログの様な物といわれる「枕草子」を酒井順子さんの現代訳で読んでみました。文庫2冊の分量で、上巻は一段から百四十二段まで。中宮、定子に仕え、華やかな生活とちょっとした自慢、失敗なども面白く書かれていました。驚いたのは、清少納言が和歌を詠まないこと。当時の人々には、和歌でなく、率直な文で綴った日常が斬新だったのでしょう。下巻へ。2024/09/19
あっきー
16
⭐3 先日桃尻語訳で上巻八二章までまで読んだのでキリ良く同じ所まで読む、所どころ分かりにくいところはあっても細かいことはスルーして読んだが、現代語訳の美しさや折々の季節の情景と王朝文化の雰囲気も感じられ、本来それを味わうものなのかもしれないなと改めて思え良かった、残りはオイオイだ2025/04/27
犬都歩
7
紫式部が清少納言を嫌ってたというのは知ってたけど、こうして通読してみると、紫式部の気持ちもちょっと分かるかも……。とりあえず清少納言は不細工と太ってる人と色黒と貧乏人が嫌いなんだな。「春はあけぼの」に代表される通り、いいことも悪いことも言語化するのが確かにとても巧いんだけど、それにしても「不細工な女とガリヒョロな男は昼寝するな、見苦しいから」(意訳)とか、「貧乏人の家には雪が降るのも月の光が差し込むのももったいない」とか、そこまで言うかのオンパレード。とはいえ、要所要所に見え隠れする瑞々しい感性はさすが。2024/08/09