内容説明
「犯人役を演じてもらいたい」と世界有数のゲーム会社・メガロドンソフトからの依頼で、VRミステリゲームのイベント監修を請け負った加茂冬馬。会場であるメガロドン荘に集ったのは『素人探偵』8名、その中には「幽世島」の事件に関わった竜泉佑樹もいた。だがイベントは、探偵と人質にされたその家族や恋人の命を賭けた殺戮ゲームへ変貌を遂げる。大切な人と自身の命を守るには、VR空間と現実の両方で起きる殺人事件を解明するしかない! 次々と繰り出されるトリックと鮮やかなロジックが圧倒の、『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に連なる〈竜泉家の一族〉三部作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
145
『どうして、竜泉家の人々はこれほどまでに異常な事件に巻き込まれる?「竜泉家の呪い」は本当になくなったのか』。そんな思いの中に、新たな『クローズド・サークル』な世界で推理を働かせていく主人公の加茂冬馬。この作品にはそんな加茂が『VR空間』と『現実空間』を行ったり来たりしながら次々と生まれる謎に対峙していく姿が描かれていました。『VRゲーム』が好きな方にはたまらないであろうこの作品。そうでない方には頭の中が少しこんがらがるこの作品。あまりに緻密な物語設計に、このシリーズの魅力を改めて感じた、そんな作品でした。2024/12/30
おうつき
18
文庫で再読。竜泉家シリーズは伏線の貼り方やロジックの細かさ、ミステリとしての仕掛けの綺麗さから人工物感を強く感じてしまうのだけど、それでも面白いのだから仕方ない。現実とVR、2つの世界を舞台に巻き起こる連続殺人と惜しげもなく盛り込まれたトリックの数々。一つ一つのインパクトが強くて、外れ推理も含めてしっかり記憶に焼き付いていたのだけど、逆に犯人を忘れてしまっていた笑。このシリーズの中ではダントツの最高傑作だと思っている。2025/02/28
にゃるび
17
特殊設定ミステリ第3段。VR空間と現実の二重のクローズドサークルで起こる事件。相変わらずルールは複雑で覚えるのにちょっと時間がいるけど、VR空間ならではのトリックは斬新で面白かった。過去改変による影響なのか、未来は帳尻が合うように出来てしまっているのか…続編あるかはわからないけど、あるなら読みたいな〜2024/06/09
lucifer
13
竜泉家シリーズ3作目。1作目と2作目の主人公揃い踏みした今作。人気の推理系“VR”ゲームのイベントに招待され、参加したらその企画自体“罠”でした。普通に考えれば黒幕は主催した会社の誰かであり、実行犯を探すのかなということは概ね当たってたというか、そこまではミステリを良く読む人なら誰もが思いつくだろうが、それで終わらないのがこのシリーズ。“VR”と現実を行き来すること、“VR”での現実での制約など駆使したギミックの数々等、確かにこれは難しかった。でもその分3作中1番面白かった。2024/06/13
huraki
10
有名企業からの依頼でVRゲームに参加することになった加茂冬馬は同じく集められた七名と共に人質の命を賭けたゲームに巻き込まれる。VR空間と現実世界、二つの場所で次々と起こる殺人事件。死と隣り合わせの理不尽な極限状態の中で、加茂の推理が冴えわたる。精緻なパズルのように繋がっていくロジックは美しささえ感じられ、個人的にシリーズの中で最もお気に入りだ。2024/08/14