幻冬舎単行本<br> ゆうびんの父

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幻冬舎単行本
ゆうびんの父

  • 著者名:門井慶喜【著】
  • 価格 ¥1,899(本体¥1,727)
  • 幻冬舎(2024/04発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784344042575

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内容説明

何も持っていなかったから、走り続けることができた。誰もが心通わせられる世にどうしてもしたかった――。歴史小説界のトップランナーが郵便制度を創設した前島密を鮮やかに描き切る感動長編!郵便制度の祖と呼ばれ、現在では一円切手の肖像にもなっている前島密。だが彼は士農工商の身分制度の影響が色濃く残る時代にあって、代々の幕臣でも薩長土肥の藩士出身でもなく農家の生まれだった。生後すぐに父を亡くし、後ろ盾が何もない。勉強を誰よりしても、旅をしていくら見聞を広めても、なかなか世に出ることができなかった。そんな苦悩を乗り越え、前島は道をどう切り開いたのか。そして、誰もが想いを届けられる仕組みをいかにしてつくったのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

219
門井 慶喜は、新作中心に読んでいる作家です。1円切手の肖像画で前島密は知っていましたが、その物語は、初めてです。 前島 密(房五郎)の青春立身出世譚、もっと地味な存在かと思いきや、勝海舟ばりの素晴らしい活躍ぶりでした。 前島 密が、日本郵便の現在の体たらくを知ったら、大いに嘆くと思われます。しかし房五郎は、超マザコンでした(笑) https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344042575/2024/08/20

KAZOO

128
前島密については、郵便制度を作った人ということだけ知っていました(今村翔吾さんの小説にもちょっと出てきますが)。新潟の農民出身ながら、持ち前の向学心などで様々な経験をしていきます。幕末や明治維新のころの有名人が数多く出てきます。そのような人々との交誼を経ながら海外にも行ったりしながら日本の郵便制度を近代的なものとしました。日本通運もこの制度にかかわっていたということも知りました。2025/06/27

bura

127
「手紙というのは単なる紙ではない。人の心がどこへ向かって走る要因にもなる、いわば帆船にとっての風なのである。」幕末の世に越後の片田舎に生まれた房五郎、後の前島密は貧しいが教育家の母に育てられ様々な師の元で学ぶも満足せず、次の理想へと向っていく。医師、船乗り、教師、更に長崎や函館、海外へ。「旅」は房五郎にとって人生そのものだった。明治となり誰もが考えなかった「郵便」事業をこの国に根付かせる事に奔走する。旅をして理解できた、人に「心」を伝える手紙を日常のものにしたのだ。ゆうびんの父は日本人の魂そのものである。2024/06/14

のぶ

120
前島密の半生を描いた作品。前島密と言えば、1円切手の肖像画で知られていますが、若い頃の行動は知らない部分が多く、興味深く楽しむ事ができた。幼名を房五郎と名乗り越後国出身で、士農工商の身分制度の影響が色濃く残る時代にあって、代々の幕臣でも薩長土肥の藩士出身でもなく農家の生まれだった。幼い頃から聡明で優秀な子どもで、若くして江戸に出ていく事になる。大久保利光や伊藤博文と交流して幕末から維新の政治を引っ張って行く。郵便の話が出るのは終盤になってから。読みやすい文章で登場人物が皆、魅力的に描かれていた。2024/04/28

trazom

114
前島密を主人公とする物語。越後に生まれ、江戸、函館、長崎、鹿児島、神戸などを転々とした後、幕臣となり、維新後、民部省に出仕し郵便制度を創設した人生が綴られる。前半生の記録がだらだらと長く、「郵便」に関する記述は質・量ともに貧弱。既得権益者であった飛脚との軋轢や、名主を活用しての郵便取扱所開設の苦労など、郵便制度創設における核心の部分が深堀りされず、薄っぺらい物語となっている。更に、前島密を語る上で避けられない漢字廃止論や、明治十四年の政変後の下野などは全く触れられず、評伝小説としては片手落ちな感じがする。2024/11/19

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