内容説明
男性は孤独に弱くてひとりぼっちでいると生きる気力を失い、おかしくなってしまう――売れない小説家兼雇われコンビニ店長の春来は、SNSで流れてきた投稿を見た途端不安に襲われる。恋人も人生の目標もない。家族をつくる未来も見えない。俺は生きる気力を失ってしまうのか? 周りを見ると、同僚や友人たちも中年独身ならではの抱えるものに悩まされていて……。不器用な人間のいきざまや がりを丁寧に描いた長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
48
『未婚男性の平均寿命は65歳位で極端に短いんだって。逆に女性は未婚も既婚も関係なく長生きなんだって。』というある意味衝撃的な文章で始まる物語。40代から50代にかけての10年間に渡る4人の男女の物語は誰もが経験しそうに思えたり、稀なケースに思えたり、この先に起こるかもしれないと思ったりするが、私個人としてはとても身近な話だった。日常を楽しくするも、つまらなくするも自分次第。丁寧な暮らしは満足感を与えてくれるし、そんな自分を好きになれる。気がつかないだけで幸せは存在しているのでは。色々な勇気をもらった。2024/04/03
うさうさ
14
SNSでバズったある投稿を見て不安にかられるコンビニ店長から始まり、 似たような生きづらさや葛藤を抱える4人の10年にわたる群像劇。 この作家さん、こういう人物を描くの上手いなあ。 ドラマを見てるような感覚で、でもリアルではそこまで多くはなさそうに思う。 面白くてあっという間に読み終えた。2024/02/17
Mayuko Kamiwada
8
Twitterで男性は孤独に弱く一人だと生きる気力がなくなり、おかしくなるらしいというツイートを見つけた主人公の春来。それ以来、自分が一人での生活に耐えられるかと考え始める。春来だけでなく、友人や同僚たちもそれぞれが生きづらさや苦しさを抱えている。もっと器用に生きれたら楽だけど、不器用にしか生きれない登場人物たちに愛おしさを覚えるだろう。自分の生き方を改めて考えさせられる。2024/04/06
ユウハル
6
立場は違えども、同世代なので色々と突き刺さる内容だった。いつかはみんな一人になるんだ。そばに家族とか友達がいたとしても一人で楽しく生きるにはどうしたらいいか、自分なりに考えながら読んだ。 途中の酷い仕打ちや辛いこと、当事者よりも頭に来て怒りが止まらなかった。のちに当事者たちが客観的に己を見つめて語っているところは、こういうところは敵わないなと思った。
ぶんぶん
1
歳を取ると一人でいる事に対する漠然とした不安感って出てくるのでこの作品はなんとなく気持ちが分かるような気がします。 年取ったらルームシェアとかしようと言わない関係性が良いというラストあたりのセリフはそもそも孤独感はルームシェアで解消されるのかな?という思いにもなってしまう。個人的にはいざというときに誰かいると思えるかという事が大切で日々の生活に誰かがいる事が安心感をもたらすかは??と思った。 そういう意味ではこの4人は恵まれた環境にいるのかも。2024/03/02