内容説明
戦争,自然災害,政変などの惨事につけこみ,人々が茫然自失している間に過激な経済改革を断行するショック・ドクトリン.独裁政権下のチリ,ソ連崩壊後のロシア,天安門事件後の中国など,世界中を席捲した改革は何をもたらしたのか.綿密かつ豊富な取材に基づき,舌鋒鋭い筆致でその正体を暴き出す.(解説=中山智香子)
目次
第四部 ロスト・イン・トランジション――移行期の混乱に乗じて
第12章 資本主義への猛進――ロシア問題と粗暴なる市場の幕開け
第13章 拱手傍観――アジア略奪と 「第二のベルリンの壁崩壊」
第五部 ショックの時代――惨事便乗型資本主義複合体の台頭
第14章 米国内版ショック療法――バブル景気に沸くセキュリティー産業
第15章 コーポラティズム国家――一体化する官と民
第六部 暴力への回帰――イラクへのショック攻撃
第16章 イラク抹消――中東の“モデル国家”建設を目論んで
第17章 因果応報――資本主義が引き起こしたイラクの惨状
第18章 吹き飛んだ楽観論――焦土作戦への変貌
第七部 増殖するグリーンゾーン――バッファーゾーンと防御壁
第19章 一掃された海辺――アジアを襲った 「第二の津波」
第20章 災害アパルトヘイト――グリーンゾーンとレッドゾーンに分断された社会
第21章 二の次にされる和平――警告としてのイスラエル
終 章 ショックからの覚醒――民衆の手による復興へ
訳者あとがき
岩波現代文庫版訳者あとがき
解 説……………中山智香子
原 注
索 引
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
バズリクソンズ
24
読み終えての真っ先の感想は、例えノーベル賞受賞者という肩書きだろうが、その人物が何を目的に主張しているのかを見抜く能力を自身が身につけなければならないこと。世界経済を牛耳られ、貧富の差が拡大の一途を辿るのはミルトンフリードマンの様なインテリの仮面の下に強欲を隠し持つ極悪人に支配され続けた結果。日本でも消費減税の嘘、手付かずの被災地復興、挙句過半数を賄うために野党との連立と開いた口が塞がらない。国民よ、まずこの書を手に現状を疑う事から始めて欲しい。いつまで支配者の言いなりで過ごすのか、目覚めの一歩の指南書。2025/11/02
Hiroshi
5
下巻はロシア危機から。指揮をしたのはジェフリー・サックス。彼はボリビア・ポーランドの危機を指揮した。一般にショック・ドクトリンはシカゴ・ボーイズが指揮をした。だが彼はケインジアンだった。ショック・ドクトリンは、危機に際しワシントン・コンセンサスを承諾することで危機回復の融資がなされる。これには政策が含まれる。マーシャル・プランをはじめ資金援助にはその国を西側に呼び寄せる目的があった。彼は2度とナチを生み出さない対価と考えた。IMFも世銀もソ連の影が無くなったので資金援助をしない。ロシアは悲惨な目に遭った。2024/04/13
フクロウ
4
上の分析結果である、惨事便乗資本主義が、つまりシカゴ学派経済学=新自由主義が、南米での“臨床実験”を終えて、アメリカ国内での軍事や警察の民営化、イラク戦争でのブラックウォーター社の活躍、スリランカ大津波後の海岸線からの危険を理由とした漁民の追い出しとホテルの再開発などでどんどん躍進していく様が描かれる。もっとも、最終章では、IMF、世界銀行、WTOによる新自由主義的改革を南米諸国が拒否し、南米圏での自律経済圏構築と国内の統治機構の多元化、協同組合制度の積極導入など、新自由主義への反旗の端緒も描かれている。2024/10/23
pokuta
4
上巻でも記載したがとても怖い話。下巻は9.11からイラク、スマトラ沖地震、アメリカ国外に飽き足らず、カトリーナによるニューオリンズまで惨事便乗型資本主義の方策により格差が生じていくことをわかりやすく記載している。救いなのは南米で起きていた放任自由主義が崩壊していき、民主主義的社会主義に舵をとっているということ。この国で起きた大震災後、一体どのような型で復興が進んでいったのか細かいことを知らないということに気付く。このショック・ドクトリンという概念を少しでも理解できてとても有意義であった。2024/08/28
あーしぇ
1
今月はほぼこの作品しか読んでいない。それくらい圧倒されるような内容でした。東日本大震災の半年後に日本語版が出ていたということで、リアルタイムで読んでいたら、国や私企業による震災後の「復興」とやらに、もっと別の視線を向けることができていたかもしれない。これだけ広く知れ渡っているショック・ドクトリン。いまだにこの社会がその路線なのはどーゆーことなのかしら。直近では東京メトロが心配です。2024/08/25




