正義の行方

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正義の行方

  • 著者名:木寺一孝【著】
  • 価格 ¥1,705(本体¥1,550)
  • 講談社(2024/04発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784065355602

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内容説明

文化庁芸術祭賞大賞、ギャラクシー賞選奨を受賞、映画化も決定した映像ドキュメンタリーの名作を書籍化。芥川の名作『藪の中』のような、圧倒的な読書体験。
1992年2月21日、小雪の舞う福岡県甘木市の山中で、二人の女児の遺体が発見された。
現場に駆け付けた警察官が確認したところ、遺体の服は乱れ、頭部には強い力で殴打されたことを示す傷が残っていた。
二人は、約18キロ離れた飯塚市内の小学校に通う一年生で、前日朝、連れ立って登校している最中、何者かが二人を誘拐し、その日のうちに殺害、遺棄したものと見られた。
同じ小学校では、この3年3ヵ月前にも同じ1年生の女児が失踪しており、未解決のまま時が流れていた。
福岡県警は威信を懸けてこの「飯塚事件」の捜査にあたることになる。わずかな目撃証言や遺留物などをたどったが、決定的な手がかりはなく、捜査は難航する。そこで警察が頼ったのが、DNA型鑑定だった。遺体から採取した血液などをもとに、犯人のDNA型を鑑定。さらに、遺体に付着していた微細な繊維片を鑑定することによって、発生から2年7ヵ月後、失踪現場近くに住む久間三千年が逮捕された。
「東の足利、西の飯塚」という言葉がある。栃木県足利市で4歳の女児が誘拐され、殺害された足利事件は、DNA型鑑定の結果、幼稚園バスの運転手だった菅家利和さんが逮捕・起訴され、無期懲役判決が確定したが、発生から18年後にDNA型の再鑑定が決まり、再審・無罪への道を開いた。
その2年後に起きた飯塚事件でも、DNA型鑑定の信頼性が、問題となった。
DNA型、繊維片に加え、目撃証言、久間の車に残された血痕など、警察幹部が「弱い証拠」と言う証拠の積み重ねによって久間は起訴され、本人否認のまま地裁、高裁で死刑判決がくだり、最高裁で確定した。
しかも、久間は死刑判決確定からわずか2年後、再審請求の準備中に死刑執行されてしまう。
本人は最後の最後まで否認したままだった。
久間は、本当に犯人だったのか。
DNA型鑑定は信用できるのか。
なぜこれほどの短期間で、死刑が執行されたのか。
事件捜査にあたった福岡県警の捜査一課長をはじめ、刑事、久間の未亡人、弁護士、さらにこの事件を取材した西日本新聞幹部に分厚い取材を行い、それぞれの「正義」に迫る。
「ジャーナリストとして学んだことがあるとすれば、どこかひとつの正義に寄りかかるんじゃなくて、常に色んな人の正義を相対化して、という視点で記事を書くという考えに至ったんです」(西日本新聞・宮崎昌治氏)
いったい何が真実なのか。
誰の「正義」を信じればいいのか――。

目次

1 遺体発見
2 捜査開始
3 地元紙のプライド
4 捜査一課長交代
5 逮捕
6 死刑判決
7 DNA型鑑定
8 目撃証言の検証
9 調査報道
10 警察庁長官
11 終わりなき闘い

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

135
30年以上前に福岡県飯塚市で起きた殺人事件。否認の容疑者は判決から2年後、死刑執行された―文化庁芸術祭「大賞」受賞ドキュメンタリー作品―ドキドキしながら読んだ。何度も「真実は一つ」と脳内でコナン君が言っていた。これは捜査に係わった警察官、被告人の妻と弁護士、新聞記者たちの「正義」をめぐるドキュメンタリー。死刑執行が早くて驚いたし、怖いと言うのが正直なところ。もし冤罪だったら(その可能性は大)犯人は誰?そして何処に・・ 拉致され遺棄された二人の女児が痛ましい。2024/04/29

遥かなる想い

101
30年以上前に起きた飯塚事件を追ったノンフィクションである。 警察官、被告人の妻、そして 新聞記者たち それぞれの正義を描く。 まだ DNA型鑑定の精度が信じられなかった時代に、 否認し続けた容疑者は判決からわずか2年後に死刑執行されてしまう… なぜ同時期に起こった足利事件では 再審・無罪の道が 開かれ、飯塚事件では それが閉ざされたのか? 非常に不可解な幕引きに感じるが、真実は 謎のままという 印象の事件だった。 2025/03/23

ma-bo

101
1992年に登校中に小学1年生の2人の女児が何者かに連れ去られ殺害、遺棄された飯塚事件。犯人とされた久間さんは犯行を否定し続けるも逮捕、起訴され死刑判決決定後2年という短期間での死刑執行。警察。被告人の妻、弁護士たち。事件報道に携わった新聞記者たち。3者にはそれぞれが信じる「真実」があり、拠って立つ「正義」があった。当事者たちを追ったノンフィクション。軽々しく冤罪だとは言えないが、過去の冤罪事件と同じく警察側の証拠や目撃情報の捏造疑惑があるのは確か。いったい何が真実なのか。誰の正義を信じればいいのか。2024/06/12

fwhd8325

80
この事件の再審が棄却された報道を見て、この著書を知りました。冤罪と言われている事件は沢山あります。その中でも、この事件はすでに刑が執行されていること、執行までの期間が短かったことを考えると、何かの理由で急いでいたような憶測が働きます。新たな証言が出ていながらも再審を認めないことへの不信が募ります。警察側のコメントに、この後類似事件が起きていないことが、真犯人とする説明には無理があるように感じます。2024/06/25

Kーazuki

52
正義の行方というタイトルがまさにそれぞれの立場から見た正義なんだと感じた。(世界で起きている戦争もそれぞれの立場からの正義で行われている。)被害に遭われた2人の幼女の方にご冥福をお祈りします。この小説は、飯塚事件のルポを丁寧に書いた本です。飯塚事件については、当時悲惨な事件として記憶にあります。犯人逮捕後もテレビで相当流されていました。DNA鑑定による有罪判決も当時は凄いことだと思いましたが、警察や検察の強引な取り調べや証拠の捏造?そして早すぎる死刑執行は、犯人が久間氏だとしても疑問が残るだろう。正義か?2024/12/27

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