出版社内容情報
徴兵免除の特典とひきかえに奥地の鉱山にやってきた梶も戦争のもたらす矛盾から逃れることはできない。相つぐ捕虜の逃走と不気味な軍の影。梶と美千子の運命は?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sumiyuki
2
人の尊厳を踏みにじる戦争にて、青臭いヒューマニストはどこまで信念を貫けるか。最後まで読もう。@人間のこういう種類の精神機能は、発展させることを怠ると、無駄に消滅してしまう。人間は誰でも二十歳前後には多少ともヒューマニストで、真理を愛するが、三十を越すと、たいてい実利を取るようになるし、四十を過ぎると、私利私慾だけに走るようになる。@梶さん、小さな過失や誤謬は、あんたも犯すだろうし、私も犯す。だが、これは訂正すれば許される。けれども、決定的な瞬間に犯す誤謬は、決して許されることのない犯罪になる。2018/09/18