内容説明
作家デビュー50周年に放つ、物語愛に溢れる大傑作
キング史上最も美しいラストに涙せよ
狙撃を実行したが結局、司直からも依頼人たちからも身を隠す羽目になったビリー。しかもたまたま、潜伏する家に転がり込んできた若い女性アリスを助けることになってしまった。
いったい何が起きているのか。依頼人は何を狙っていたのか――。ビリーは殺しの仕事の真相に近づくべく、策を練りはじめる。しかし、追い出すに追い出せないままのアリスをどうすればいいのか。執筆途中の小説も気にかかる。物語は急転回から加速して、ビリーの運命は思わぬ方向に動き出す!
事件の真の目的と黒幕とは!? 先読み不能な展開の末に、キング史上最も美しい名場面が――。殺し屋史上最高にカッコいい男の罪と罰、贖罪と復讐。そして物語を読むことと紡ぐことへの愛。巨匠がついに生み出した最高のクライム・ノヴェルに、震撼せよ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽてち
34
上巻とは打って変わって、本巻では四面楚歌の状況に陥ったビリーと、彼が命を救った女性との逃避行が描かれる。もちろん逃げるだけではない。ある場面を境に反撃に転じることですべての謎が明らかになる。その間ビリーの執筆は続いていて、その作中作を通して彼の辿ってきた人生が垣間見える構成だ。“殺し屋”という究極の犯罪者でありながら、正義感の強い男が成り立つ理由がわかる。本作にスーパーナチュラル要素は皆無だが、ある作品の舞台となったホテルの跡地が登場し、ちょっとだけ不穏な空気が漂う。思えば、あの作品の主人公も作家だった。2024/04/28
ぐうぐう
28
『あなたの迷宮のなかへ カフカへの失われた愛の手紙』が評判になっていると聞く。実在した女性ミレナとカフカが交わしていた書簡のうち、カフカがミレナに送った手紙は残っていてカフカ没後に書簡集として刊行されているが、ミレナがカフカに送った手紙は燃やされてしまい、この世にはもう存在しないという。その存在しないミレナの手紙をマリ=フィリップ・ジョンシュレーが、想いと想像で綴ったのが『あなたの迷宮のなかへ』だ。ジョンシュレーは言う。「こうしたことができるのも、文学的な想像力のなかにある自由さ」だと。(つづく)2024/04/25
しょうご
2
キング自身はこのような小説を書きたかったのだろうな、とつくづく思う。若かりし頃、ホラーや奇抜なストーリーテラーだったが、怖いもの見たさ・読みたさの小説も懐古主義的に今でも執筆してくれないかとは思うこともある。誰かを傷つけると、それは自分の傷として残ってしまうと文中表現があったが、それは同感するところ大。独り勝ちはなく、しっぺ返しも含めで、自分で蒔いた種は自分で刈り取らなければならない、究極の戒めではないだろうか。そういった人生の収支・損益・幸・不幸・正負・光影は何かしら帳尻が合うようになっているんだと。2024/04/19
そら
1
ホラー色が無くても、キングは相変わらず面白い。 50周年で連続刊行が嬉しい。6月の『死者は嘘をつかない』が楽しみ。2024/04/26
みにゃー
1
面白かった。まさかあの始まりでこんな寂寥感のある清々しさ、希望で終わるとは思わなかった。でも寂しい〜2024/04/21