内容説明
ある日、世界から太陽が消えた。芳枝は一人息子の健太郎を失い、暗い家に閉じこもっていた。だが、その扉を叩く見知らぬ男の子があらわれる。その子は太陽を探しに行くのだという――。「あなたは、だれなの?」闇の中で子どもが大人を導いていく。物語の本源に迫る重層的な語りの構造が、闇の底に驚くべき結末を準備する。代表作『あん』が23言語で翻訳され、世界のリテラシーエージェントが注目するドリアン助川の希望の書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
信兵衛
15
かなり比喩的なストーリーという印象です。 芳枝が出会う問題ごとは、そのまま現代の闇とも思えますし、多くの子供たちが太陽を目指して進んでいくという内容は、子どもたちへ希望を託しているように感じられます。 では、大人は何をしたらいいのか? 2024/04/13
ぽぽる
0
初版発行日がすべてを物語っている。 本文中の「もどるもなにも、あらゆることは、すすんでいくほかないんだよ」が私には諦念のような本音に見えてならない。 とても悲観的かもしれないが、底なし沼にずるずると沈み込んでいくようで、掘り出すことはむずかしいのかもしれない。2024/04/23
らて
0
ある日、太陽が消えた。 読み進めるうちにその状況がだんだんと明らかになってくる。 ままならぬ人生、感染症に戦争、 混沌とした世界で 消えた太陽を求めて旅に出る。 とても不思議な物語で どこまでが現実だったのか全てが想像だったのか 曖昧なまま終わるのも印象的だった。 これはきっと希望の物語。 絶望の中を歩んでいても いつかきっと太陽を掘り起こせる。2024/04/22