東京ミドル期シングルの衝撃―「ひとり」社会のゆくえ

個数:1
紙書籍版価格
¥1,980
  • 電子書籍
  • Reader

東京ミドル期シングルの衝撃―「ひとり」社会のゆくえ

  • ISBN:9784492261200

ファイル: /

内容説明

未婚率全国トップの東京23区で進む「日本の未来」とは。
孤独担当大臣も知らない、35歳から64歳の「都市型」孤独に焦点を当てる。

高齢者のひとり暮らしが増加していることは誰でも知っている。その現象は公私ともに対応が必要な課題となり、取組みも進んでいる。
ところが、若者期と高齢期に挟まれた35歳から64歳のミドル期のひとり暮らしが増加していることに関しては、基本的に問題の少ない世代と認識されて、政策課題になることは希だ。
この状態が続くと、ミドル期シングルが高齢期に達する頃、高齢シングル問題は大きな社会問題になる可能性がある。
東京23区はなぜシングル化が突出しているのか。その結果、どのような現象が生じているのか。ミドル期シングルの増加は何をもたらすのか。
本書は、増加するミドル期シングルにフォーカスし、そこに多くの問題が内在していることを明らかにし、取り組むべき課題の骨格を提起する。
東京都特別区長会調査研究機構のプロジェクト研究で、東京23区の中年期一人暮らし(ミドル期シングル)の調査研究を令和2-3年に行い、そのデータをもとにプロジェクトメンバー5人が解析を続けて執筆。

ミドル期シングルは、行政サービス的観点からみて、属性的に問題があるとは考えられていない人々でした。その見識は妥当なのでしょうか。ミドル期シングルは、すでに2020年に東京区部人口の3割近くを占めており、それ以後も上昇が続き、中でも前期ミドル期シングルは相対的に増加が大きいと見通されています。日本でシングルの割合が最も高い東京区部は、納税者としての比重も相応に大きいミドル期シングルを、まず政策対象として認識するところから始めることが必要です。また、これらの人々の多くがやがて高齢期シングルになり、高齢者政策の対象となる時代が近いことを認識する必要があります。――「終章」より

目次

序 章 東京ミドル期シングルへの視点
第1章 ミドル期シングル増加への人口学的接近
第2章 東京区部への移動とシングル化
[コラム] 東京区部のミドル期シングルはどのような人たちか
第3章 ミドル期シングルにとって親密圏とは:強まる血縁関係・広がらない社会関係
第4章 ミドル期シングルと地域コミュニティ
第5章 大都市で「ひとり」で生きる:2019年東京区部単身世帯調査から
終 章 東京ミドル期シングルの何がわかったか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

とよぽん

50
ミドル期? 中高年層のことかな、と思いながら。本書では35歳から64歳のいわゆる壮年期をミドル期と呼ぶらしい。著者らは、このミドル期のシングルの増加が、変貌する日本社会の根幹にかかわる現象の一つだと述べている。政治、財政、経済、労働、医療、行政サービス、住居、地域コミュニティ、などなどあらゆる面で「ひとり世帯」の人口増加は影響をもたらすという問題提起が満載。日本はどうなっていくのだろうという漠とした思いになる。2024/05/09

Mc6ρ助

17
『問題解決に向けては、・・当事者的関心と行政的関心からのアプローチが中心になっています。・・当事者ニーズの一部にしか対応していないようにみえるのですが、その背景には「日本では家族のみが福祉資源になっている」・・行政的関心もこの認識に立って展開されており、パートナーをつくりやすくする方向性と、それができない場合でも孤立を招かないようにする個人単位の社会保障の方向性が示されています。(p24)』少子高齢化というのが「問題」なのではなく本質的な問題に派生するものであることがよく分かる、良本。2024/07/23

旧籍・富山

8
東京区部のミドル期(35~64歳)単身世帯に関する調査を積み上げたほぼ論文みたいな内容でした。タイトルに「衝撃」とありますが、調査結果は東京区部ならそんなもんだろうという感想でした。2025/06/01

紫電改

3
東京の特殊出生率が1.0をきり話題になってたけど、本書を読んでその因果関係がシングルの増加によるということが理解できた。政府がいくら少子化対策を推進しても根本的な解決には至らないように感じる。おひとり様老人は現在も多数いるが、これから加速度的に増えて福祉費用や孤独死も悲惨な状況になる予感がして不安になる。2024/07/15

お抹茶

2
結論に意外性はなく,一人暮らしの居場所の課題も依然悩ましい。1946~80コーホートの未婚者は親と同居することが多く,1996~コーホートでは女性の未婚者シングルが増えてきた。家族の大切さを感じる割合は増加しても,家族に満足している人は減少し,家族以外の社会関係も著しく希薄。男性の場合,親との地理的距離が遠いほど親との交流頻度は下がるが,女性はあまり違いはなく,ほとんど交流がない人は親との距離と無関係。男性は経済力があるほど結婚への可能性と期待が高まるが,女性は経済力があるほど一人暮らしの可能性が高まる。2024/07/15

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21799127
  • ご注意事項

最近チェックした商品