内容説明
小市民を志す小鳩君はある日轢き逃げに遭い、病院に搬送された。目を覚ました彼は、朦朧としながら自分が右足の骨を折っていることを聞かされる。翌日、手術後に警察の聴取を受け、昏々と眠る小鳩君の枕元には、同じく小市民を志す小佐内さんからの「犯人をゆるさない」というメッセージが残されていた。小佐内さんは、どうやら犯人捜しをしているらしい……。冬の巻ついに刊行。/解説=松浦正人
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おうつき
30
四部作の最後は小鳩くんが轢き逃げに遭い、意識不明で病院に搬送されるというショッキングな幕開け。二人の出会いを描いたエピソード0的な物語が交差しながら物語が進んでいく。これまでの作品で丁寧に描かれてきた要素を全て織り交ぜながら辿り着く真相は中々衝撃的。一つの事実から絡み合った糸が解けていくような終盤の展開が見事で、心揺さぶられるような印象的な場面が連続する。シリーズの一つの締めくくりとして最高のものを読むことができたという感動が大きい。ラストシーンで、これまでこのシリーズを追ってきて良かったと心から思えた。2024/04/27
ジンベエ親分
21
やっと来た小市民シリーズの最新作そして完結編。今回は轢き逃げ事故で入院中の常悟朗と置き手紙のみでほとんど直接的な接触がない小佐内ゆき、とかなり趣が違う。動き会話する2人はほとんどが3年前の回想シーンで、2人が出会った事件でもあるので、もうひとつ噛み合ってないのが新鮮。2人が顔を合わせるのは第十一章、最終盤になってからだが、ここからの小佐内さんがスゴい。結局このシリーズはキーパーソンは常に小佐内ゆきだったわけで。まあ、何となく小佐内ゆきのキャラ(というか口調)に違和感は感じるのだけど…でも美しい終章に満足。2024/04/27
本の蟲
15
待ちに待った小市民シリーズ完結巻。シリーズもので間があくと、作家読者どちらかのノリが違って楽しめなくなることもあるのが心配だったが、全くの杞憂だった。ひき逃げに遭った小鳩くんが回想する中学生時代の事件。「小市民」を志すきっかけになった苦い思い出。同時に、誰もが読みたいと願っていた小佐内さんとの出会いのエピソード。過去と現在の事件が集束し、予想外の結末を迎え、最後は二人が語る未来予想図。いやー素晴らしかった2024/04/28
ソラ
15
【読了】A 出ないな出ないなと思いつつ、いつの間にか15年も経っていたとは…。しかし、15年待ってでも読めて良かったなと思うぐらいフィナーレにふさわしい作品だったと思う。大学生になってからの二人の話も読んでみたいがそれは蛇足になってしまうかな。2024/04/28
ナオ
12
面白かった!!小市民シリーズ、随分ご無沙汰だったけど、すんなり世界に入っていけました。小鳩くんが轢き逃げに遭い、1ヶ月後の大学受験を棒に振る重傷。同じく小市民を目指してる小山内さんは犯人探しをしてるらしく…以前よりシリアスな内容でドキドキした。中学時代の同級生に起きた轢き逃げ事件の回想もあり。この二つの事件には係わりがあるのか?どうして小山内さんは彼が寝てる時にメッセージを残していくのか?謎解きに痺れる。今度は大学生になった2人に会えるかもと期待しつつ、読み直します。堪能!!2024/04/27