内容説明
蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。今こそ最高傑作を完成させるべきだ。果たしてそれは誰の標本か。――幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、蝶として私の目に映ったのだった。イヤミスの女王、さらなる覚醒。15周年記念書下ろし作品。
※電子版には口絵は収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
640
湊 かなえは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、著者作家生活15周年記念作品、従来のイヤミスかと思いきや、初期の江戸川乱歩を思わせる猟奇&耽美的幻想標本殺人譚でした。男性作家だったらコレクションのターゲットは、美少女だったんでしょうね。私はブラジルで美しい蝶の標本を買ってきて、今でもリビングに飾ってあります🦋🦋🦋 https://kadobun.jp/special/minato-kanae/ningen-hyouhon/2023/12/25
bunmei
540
『人間標本』のタイトルからして、サイコパスなミステリーの香りがプンプン匂ってくる、湊かなえらしい新刊。若き画力のある少年達を芸術の為と称して惨殺し、その遺体を蝶に擬えた美しい『人間標本』として展示しようとする、悍ましき連続殺人事件。その『人間標本』を描いた高松和樹の口絵が、一見、美しさの中にそこはかとない不気味さを湛え、恐怖を煽っている。物語は、事件の経緯を犯人の手記を基に明かしていくのだが、読み進める度に犯人像が二転三転し、後半までミスリードに引っ張られ、ラストはイヤミスの極みに突き落とされる。 2023/12/20
ノンケ女医長
527
なんといっても、タイトル。予算がふんだんに注がれたと思われる、高級感たっぷりな表紙と、そして挿絵の6人。緊張感を強く持ちながら読み進めたところ、残虐性の強い描写に折れてしまい、数か月間、積読してました。奮起し最後まで読み、湊かなえワールドを再認識。一筋縄ではいかない、人の闇を描き切った大作だった。息子を信じられなかった父親は、生を標本にして閉じ込めようとする発想の是非を、一生考え抜くのだろうか。一度怯んで読書を諦めてしまった己を叱咤したい。やはり、湊かなえ先生は、凄まじい作家。2024/10/20
うっちー
470
芸術に名を借りた悪人がいっぱいという感じでした2024/01/15
hirokun
426
星3 湊さんの作品は久しぶり。相変わらず彼女らしい作品で、読書メーターでの評価も高いようですが、私の理解力と柔軟性が衰えたせいなのか最後まで読んでもよく理解できない作品でした。読む過程で何度も視点の展開があり、その度に犯人像が変わっていくのですが、最後のどんでん返しがあって結局結論はどうなるのか私には理解出来ないまま。年は取りたくないものです。2024/01/15
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