内容説明
いつでも訪れることができる、不思議にひろい場所。ときどき深呼吸をしたくなる原っぱ。かたくなな心に手をさしのべてくれ、暮らしの中で鏡のように光るもの。――詩は自分にとって実用のことばという著者が、みずみずしい感性で五三人の詩篇を選び、エッセイを添える。読者ひとりひとりに手渡される詩の世界への招待状。〈解説〉渡邊十絲子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ryohjin
19
人生や生活の一片を描いた様々な詩人の詩に、著者の文章が添えられています。気まぐれに詩を読んだとき、自分の感じていることが的はずれなのではといつも不安に思うのですが、この本では著者がいっしょに読んでくれているように感じられ、いつもより深く、それぞれの詩の世界に入ることができたように思います。石垣りんさんの記憶に刻まれ選ばれた53編の詩はこれからも繰り返し読むことになるのでしょう。石垣りんさんご自身の詩とエッセイも引き続き読んでみようかと思います。2024/03/12
nickkk
2
詩の選出はいいのに解説が意味がわからないなと読んでいて思ったが、途中から一篇ごとに各人の思い出があることがあるわけで、そのことを伝えたかったのだなと考え直した。高校生が読む上野は創造のない家庭のみじめさを嫌うレスバの話だし、独身中年が読む上野は意味通り。家庭のない創造のみじめさの話だし、雪が降る電車で読んだ遠景はやたらに白いばかりの絵だろうし、出張先で読む夢は焚木の丸太には平社員なのに一から百までと憤りを感じるし。どこで初めて読んだか、何を感じたかということを忘れないようにするのは大事だなと改めて感じた。2024/03/15