内容説明
平安中期は「女の時代」だ!
紫式部をはじめとする平安期の女性は、なぜ歴史的な文学作品をのこすことができたのか? 栄華極まり陰謀うごめく貴族社会で、女性たちは何を考え、どのように暮らしていたのか? 歴史の表舞台には立たない女性にも光を当て、彼女たちの結婚・出産・仕事・教養・老後などを通じて、平安時代のリアルを解き明かす。この一冊で、大河ドラマ「光る君へ」の時代背景がよくわかる!
*電子書籍版には一部収録していない資料写真がございます。あらかじめご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
koji
24
大河「光る君へ」を観ていると、平安中期(1000年を境とする前後五十年)の貴族女性達が、男達の権力の道具の様であり乍ら、それを逆手に取る、逞しくい生命力、卓越した理知力を持ち合わせている事に大いに感心しています。その女性達をじっくり追いかけたのが本書。光の面ばかりでなく、(ここで書けない様な悲惨な)影にもスポットが充てられています。これで私のドラマ観も深まりました。本書にもありますが、平安中期は、ある意味男女対等の終焉期。これから男性優位に傾斜していきます。しかし令和の今は再び転換期。大いに示唆を得ました2024/05/12
mawaji
9
「光る君へ」の関連図書として読みました。上層貴族の女子は産むことが大切な仕事になっていたとはいえ「皇子を産めぇ~」と迫られながら若年結婚と多産、産死となることが多かった「源氏物語」の時代はSDGs的にもユニセフあたりから指導が入りそうな状況だったのですね。「女のあまりに才かしこきは、ものあしき」という女性観の時代だったからこそ「おまえが男だったらよかったのになあ」という父親の嘆きを跳ね返すように紫式部や清少納言、和泉式部や赤染衛門らを輩出したということなのでしょう。「床去り」の習慣、ちょっと気になりマス。2024/08/10
とら
9
平安中期は道綱母が自分史を書き、紫式部が不朽の名作「源氏物語」を記し、清少納言、和泉式部、赤右衛門たちを輩出した時代だった。この後、「家の成立」により女性の在り方が変化していく。2024/06/29
眉毛ごもら
5
千年前の事なので基本的な常識や倫理観は微妙に違うんだけどこの時代に生きていた人達は人間なのだなあという感想になるなど。嬉しい悲しいの感情や生き様等一生懸命生きているなぁと思うのである。あの時代に生きていたいとはミリほども思わんのであるが。それはそれで今の時代との違いを考えさせられるわけで。稼ぐ女持てる女、哀れな女見捨てられる女様々いるが彼女らの先に我々がいるのだなとは思うのである。さてこの本2000年に出た原本に加筆修正と記入してあったのだが…時期的に手に入りにくいところにいたし多分持ってないと信じたい。2024/02/20
バーニング
5
平安時代のジェンダー史に着目してきた著者らしく、平安中期の女性が同時代男性と比較してどのように生き、そしてどのように死んでいったかを概観した一冊。記録の関係上一般の女性についての記述は多くはないもののいくらかあり、家で安らか死ぬことや死後に葬送されることが全く一般的でなかったことも記述されている。2024/01/26