不完全な司書

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不完全な司書

  • 著者名:青木海青子【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 晶文社(2023/12発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794973986

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内容説明

本は違う世界の光を届ける窓
図書館は人と人の出会いの場所
司書の仕事はケアにつながる


奈良県東吉野村にひっそりとたたずむ「ルチャ・リブロ」は、自宅の古民家を開いてはじめた私設の図書館。このルチャ・リブロの司書が綴る、本と図書館の仕事にまつわるエッセイ。
人と接するのが苦手で、本という「窓」から外の世界と接してきた。そんな著者が自らの本棚を開放することで気づいた「図書館」の本質的な効用。精神疾患を抱える「支えられる立場」から、司書という「人を支える立場」になりえた体験を通じて、司書の仕事の豊かさ、奥深さ、そして本という「窓」の持つ力が伝わってくる。
読むと訪れてみたくなる、ある個性的な図書館の物語。写真・宗石佳子。

“私の来し方には、いつもそこに「本」と「生きづらさ」が座しています。自分自身の読んできたものと、読書の周辺を紐解くだけで、「この人、よく生きていたなあ」と何やら放心してしまいます。ルチャ・リブロはそんな私自身の読んできたものを開いたような場所で、だからこそ、少ししんどい状況にある人が、ふとこの場所を見つけて遠い道のりをやってきてくれるのではないかと考えています。(「まえがき」より)”

【目次】

■1 司書席から見える風景

不完全な司書
本という窓
古い家で、いとなむこと
蔵書を開くことは、問題意識を開くこと
ルチャ・リブロの一日
公と私が寄せては返す
窓を眼差した人
時間がかかること、時間をかけること
諦めた先の諦めなさ
ペンケースを開け放つ
森から来た人達
知の森に分け入る
葛根湯司書
図書館への道
ルールとのつきあい方
偶然性と私設図書館
夜の海の灯り

■2 クローゼットを開いて
クローゼットの番人が、私設図書館を開くまで
幽霊の側から世界を見る
当事者であること、伴走者であること
絶対あると思って探しに行かないと見つからない
探求のお手伝いが好き、レファレンスブックが好き
カーテンに映る影
本と暴力と
光の方へ駆ける
窓外に見えるもの
旅路の一里塚
明るい開けた場所に出られるような言葉

■3 ケアする読書
デコボコと富士正晴
書くことのケア性について
「分からない」という希望
生きるためのファンタジーの会
木炭で歯をみがくことと、オムライスラヂオ
私の影とのたたかい
背後の窓が開く
「土着への処方箋」のこと
「本について語り合う夕べ」のこと

■4 東吉野村歳時記
峠をのぼるひと、のぼる道
屋根からの手紙
とんどと未来
馬頭観音祭と、往来と

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はっせー

61
読書について考えたい人や本に囲まれた空間が好きな人におすすめしたい本になっている!著者の青木さんの本は前作も読んでおり好きな文章であったので本作も読んでみた。本書は私設図書館ルチャリブロでの出来事や青木さんの過去の話をまとめたエッセイである。窓についての考察がめっちゃ良くこの話は色んな所で共有したいと思った!2024/03/23

せ~や

47
著者ご夫婦はそれぞれ知ってる人なので、楽しみにしてました。様々なご経験をされて、「司書」という視点で他者に何が出来るのか、とても興味深い内容でした。ケア、「癒す」、「治す」などは医療や福祉など大仰なモノが並びますが、決してそれだけが可能性ではないと改めて感じます。僕も昔から「弱さ」がコンプレックスでしたが、友人の言葉で今は「弱さ」が僕の指針になりました。僕にとっての本は、「景色」でしょうか。本を読む事で主人公などを景色や心情を追体験する…知り得ない世界を少しだけ味わえる、それが僕にとっての本です。☆5.02024/02/20

ぶんこ

44
読んでいる途中から図書館のサイトを検索したり、Googleマップでも調べ、いつか行きたいなと思いつつ読みました。読みおわってみると、著者ご本人にお会いするのが恥ずかしい気持ちになりました。精神を病まれたほどの繊細さを、私は踏みにじるのではという恐れ。最後まで読まなければよかったという思い。人の繊細さが怖くなっている。この本で印象的だったのは「本は窓」ということ、目から鱗で、確かに頭の中で想像している世界と思っていた読書世界は、「窓」かもしれないと思い至りました。2024/02/29

Roko

33
青木さんは奈良県東吉野村で「ルチャ・リブロ」という人文系施設図書館で司書をなさっています。ご自身の本棚を公開し、様々な方に利用してもらったり、感想を聞いたりすることで、自分ひとりでは気がつかなかったことを見つけてきました。本を読むのは楽しみであり、勉強であり、冒険でもあり、自分が抱えていた「生きづらさ」の原因は何なのかを探るものでもあるのです。ここでは、本に付箋を付けたまま次の人に読んでもらうというスタイルで貸出しを行っています。こうやって、誰かと会話しているような読書というのも面白いかもしれません。2024/02/09

まぁみ

28
いろいろな図書館があっていい。私設図書館ならば尚の事、管理者の思いが詰まって然り。青木さんの作る世界、唯一無二の空間に思いを馳せる私がいました。あまり読んだことのない文体が不思議なくらい心地良かった。「ケアと読書」をテーマに丁寧な言葉でご自身の疾患についても語られています。様々な書籍から日常を語るエッセイですが、物静かで力強い作品です。大勢の人に読んで欲しいな。2023/12/13

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