不完全な司書

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不完全な司書

  • 著者名:青木海青子【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 晶文社(2023/12発売)
  • 真夏も楽しく!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/11)
  • ポイント 510pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794973986

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内容説明

本は違う世界の光を届ける窓
図書館は人と人の出会いの場所
司書の仕事はケアにつながる


奈良県東吉野村にひっそりとたたずむ「ルチャ・リブロ」は、自宅の古民家を開いてはじめた私設の図書館。このルチャ・リブロの司書が綴る、本と図書館の仕事にまつわるエッセイ。
人と接するのが苦手で、本という「窓」から外の世界と接してきた。そんな著者が自らの本棚を開放することで気づいた「図書館」の本質的な効用。精神疾患を抱える「支えられる立場」から、司書という「人を支える立場」になりえた体験を通じて、司書の仕事の豊かさ、奥深さ、そして本という「窓」の持つ力が伝わってくる。
読むと訪れてみたくなる、ある個性的な図書館の物語。写真・宗石佳子。

“私の来し方には、いつもそこに「本」と「生きづらさ」が座しています。自分自身の読んできたものと、読書の周辺を紐解くだけで、「この人、よく生きていたなあ」と何やら放心してしまいます。ルチャ・リブロはそんな私自身の読んできたものを開いたような場所で、だからこそ、少ししんどい状況にある人が、ふとこの場所を見つけて遠い道のりをやってきてくれるのではないかと考えています。(「まえがき」より)”

【目次】

■1 司書席から見える風景

不完全な司書
本という窓
古い家で、いとなむこと
蔵書を開くことは、問題意識を開くこと
ルチャ・リブロの一日
公と私が寄せては返す
窓を眼差した人
時間がかかること、時間をかけること
諦めた先の諦めなさ
ペンケースを開け放つ
森から来た人達
知の森に分け入る
葛根湯司書
図書館への道
ルールとのつきあい方
偶然性と私設図書館
夜の海の灯り

■2 クローゼットを開いて
クローゼットの番人が、私設図書館を開くまで
幽霊の側から世界を見る
当事者であること、伴走者であること
絶対あると思って探しに行かないと見つからない
探求のお手伝いが好き、レファレンスブックが好き
カーテンに映る影
本と暴力と
光の方へ駆ける
窓外に見えるもの
旅路の一里塚
明るい開けた場所に出られるような言葉

■3 ケアする読書
デコボコと富士正晴
書くことのケア性について
「分からない」という希望
生きるためのファンタジーの会
木炭で歯をみがくことと、オムライスラヂオ
私の影とのたたかい
背後の窓が開く
「土着への処方箋」のこと
「本について語り合う夕べ」のこと

■4 東吉野村歳時記
峠をのぼるひと、のぼる道
屋根からの手紙
とんどと未来
馬頭観音祭と、往来と

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

78
控えめな文章で綴られているのが、今の時代だからこそ、一層、沁みこんでくる。とかく、大きな声でアピールするのが良いというような風潮を感じているからこそだと思う。その時々の自分を見つめ、視線を自分の周囲から少しずつ広げて考える。時間の流れを考えること。本という存在、電子図書ではなく、物理的な本という存在を考える。ずっと思っているが、本は、五感を通して感じとる部分が多い。そんなことを、改めて感じ取れる。2024/07/28

せ~や

68
著者ご夫婦はそれぞれ知ってる人なので、楽しみにしてました。様々なご経験をされて、「司書」という視点で他者に何が出来るのか、とても興味深い内容でした。ケア、「癒す」、「治す」などは医療や福祉など大仰なモノが並びますが、決してそれだけが可能性ではないと改めて感じます。僕も昔から「弱さ」がコンプレックスでしたが、友人の言葉で今は「弱さ」が僕の指針になりました。僕にとっての本は、「景色」でしょうか。本を読む事で主人公などを景色や心情を追体験する…知り得ない世界を少しだけ味わえる、それが僕にとっての本です。☆5.02024/02/20

はっせー

67
読書について考えたい人や本に囲まれた空間が好きな人におすすめしたい本になっている!著者の青木さんの本は前作も読んでおり好きな文章であったので本作も読んでみた。本書は私設図書館ルチャリブロでの出来事や青木さんの過去の話をまとめたエッセイである。窓についての考察がめっちゃ良くこの話は色んな所で共有したいと思った!2024/03/23

ぶんこ

48
読んでいる途中から図書館のサイトを検索したり、Googleマップでも調べ、いつか行きたいなと思いつつ読みました。読みおわってみると、著者ご本人にお会いするのが恥ずかしい気持ちになりました。精神を病まれたほどの繊細さを、私は踏みにじるのではという恐れ。最後まで読まなければよかったという思い。人の繊細さが怖くなっている。この本で印象的だったのは「本は窓」ということ、目から鱗で、確かに頭の中で想像している世界と思っていた読書世界は、「窓」かもしれないと思い至りました。2024/02/29

kameyomi

40
大学図書館勤務で心を病み、自死を試みて入院した経験のある作者が、奈良県吉野村の山中の自宅を私設図書館として開き生きようとする。来館者を支援する事はつまり自身の困難を救う事でもある。レファレンスは双方向的だ。「静謐」という言葉が思い浮かんだ。本の持つ計り知れない力がその言葉に落ち着く場が、私設図書館「ルチャ・リブロ」だ。素敵な写真も載っていて、一度は訪ねてみたくなる。2025/02/05

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