内容説明
中国、ロシア、北朝鮮……。
インテリジェンス・マスターが初めて明かすスパイ戦争の最前線!
海外からの脅威に日本の「外事警察」はいかに対峙してきたのか――。
北朝鮮による日本人拉致事件、日本赤軍メンバーの追跡、
オウム真理教「ロシアコネクション」の解明、プーチンのスパイとの攻防、
山口組マフィア・サミットの阻止、中国スパイのTPP妨害工作の摘発……。
警察官僚、国家安全保障局長として、
数々の修羅場をくぐり抜けてきたインテリジェンス・マスターと
『見えざる敵』との闘いは、外事警察が抉る平成の裏面史でもあった。
知られざるスパイとの闘い、水面下での極秘任務の数々がいま初めて明かされる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
124
北朝鮮による拉致やロシア絡みのオウム事件、中国の経済侵略など外国による諜報活動は容赦なく進行している。日常のすぐ隣にある異常な世界を多くの日本人は見るのを避け、世は事もなしでやりすごそうとする。そんな心地よい平和ボケに浸った国で対スパイ戦争の最前線に立ってきた公安警察幹部が、国民の迷妄を覚まそうと送り出した戦史といえる。ウクライナやパレスチナで証明されている通り、国際政治は力こそ正義であって法も倫理も存在せぬ事実を直視せねば生き残れない。今こそ日本は国家の存亡を賭けて、情報戦に参戦しなけらばならないのだ。2024/01/17
trazom
102
外事警察の活動は普段目にすることが少ないだけに、貴重な一冊ではあった。北朝鮮の拉致問題、日本赤軍との戦い、福島原発事故の日米協力など事例の多様さに、業務範囲の広さを実感するが、特に、ロシア・中国による諜報活動の実態には背筋が寒くなり、国家安全保障の重要性を認識する。多くの経験を踏まえて、最終章で、特定秘密保護法の制定に賭ける著者の強い思いが綴られているが…。ただ、殊更自らの実績を誇示し、有力者との人間関係を吹聴するような書きぶりを読んでいると、著者が「官邸のアイヒマン」と呼ばれたのも納得できる気がする。2024/01/20
姉勤
35
長年、警察の情報機関に職務していた著者の、特に対日工作や対スパイ、オウムテロや東日本大震災における対外折衝など、外に出にくい活動の「秘」録。法律や日本人のマインドに不備や欠陥がなければ、秘すほどでもないのかもしれない。と言って彼らの職務を軽んじているわけではなく、記しきれない危機や損失の善処に、頭が下がる思いと共に、いつまでも綺麗事を唱えていればいい場合ではなく、茹で上がる寸前のカエルの群れに付き合う必要はないとも思える。あからさまに書かれていなくても、行間に漂う敵の存在は秘しきれないものがある。2024/04/07
4492tkmt
12
ドラマ「外事警察」が面白かったので、思わず手に取った。ロシア・北朝鮮のスパイや、山口組・オウム真理教・日本赤軍に至るまで、国を守るため、情報を武器にあらゆる組織と戦っているエピソードが淡々と紹介されている。フィクションではなく、当事者による記録なので、ドキドキ・ハラハラがあるわけではないが、帯にあるプーチンの言葉のように、決して表には出てこない現場での緊張感のあるやりとりは、当事者でもないのに胃が痛くなりそうになる。納税くらいしかできない一介の国民として、国を守って昼夜問わず働く方には頭が下がります。2024/03/24
Masa
6
書店新刊コーナー平積みにて発見購入。著者は元国家安全保障局長のノンフィクション。中国、北朝鮮ロシア、、日本赤軍、オウム真理教、山口組などとの闘い。凄い、凄いの一言。我々の預かり知らぬところで水面下の凄い闘いが行われてんのね。「情報は、時に人命を守り、各領域の安全保障の優劣を決し、国運を左右する」んです。このスパイだらけの日本、散々苦労してしょっ引いても微罪で執行猶予や外交特権で国外逃亡。他の国ではスパイは重罪、死刑若しくは終身刑だ。特定秘密保護法を成立させるだけで一苦労なニッポン、一体どうなってる?2024/02/07