内容説明
庭は、人々の生活の営みと自然との相克によって造形され、変化し続ける総合芸術です。先人は、山水に恵まれた島国にあってそれぞれの時代を背負いながら、花を愛で、鳥の声を聴き、土の匂いを嗅いで自然に働きかけ、庭という景観を創り続けてきました。
日本史上初の武家社会を舞台に誕生した鎌倉の瑞泉寺庭園は、禅僧夢窓疎石の世界観が随所に表現され、七百年の時空をくぐり抜けて作庭時の姿を残しています。禅という思想を庭に表現することによって、庭は眺める庭から考える庭へと質を変えました。
夢窓疎石の庭の表現方法は、鎌倉時代の終焉と共に、天龍寺、西芳寺あるいは茶庭、石庭、枯山水などの庭に継承され、室町から江戸時代の庭に展開していきます。
目次
はじめに 瑞泉寺庭園について考える
第1節 背景と目的・夢窓疎石の庭の見方
第2節 夢窓疎石の世界観の体系
第3節 夢窓疎石の評価の方法
第1章 瑞泉寺庭園を観る視点
第1節 夢窓疎石の世界観
第2節 夢窓疎石の宗教的経験
第3節 歴史のなかの夢窓疎石
第4節 文化的活動
第5節 方位の認識
第6節 夢窓疎石の世界観の特長
第2章 夢窓疎石の世界観の表現
第1節 瑞泉寺と夢窓疎石
第2節 名勝瑞泉寺庭園に観る夢窓疎石の世界観
第3節 史跡瑞泉寺境内に観る夢窓疎石の世界観
第4節 富士山を借景にした空間
終章 瑞泉寺の創造性と不易性
第1節 日本庭園の原型と瑞泉寺庭園
第2節 貴族の眼と武士の眼(平安時代と鎌倉時代)
第3節 瑞泉寺庭園が後世に伝えたもの
第4節 おわりに
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