〈68年〉の性 - 変容する社会と「わたし」の身体

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〈68年〉の性 - 変容する社会と「わたし」の身体

  • 著者名:神奈川大学人文学研究所/小松原由理
  • 価格 ¥3,740(本体¥3,400)
  • 青弓社(2023/11発売)
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  • ISBN:9784787233950

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内容説明

フランスの5月革命が象徴する1968年。世界的に学生の異議申し立てが吹き荒れ、ベトナム反戦闘争が激しさを増し、日本でも東大・日大をはじめとする全共闘の大学闘争、アメリカ軍の後方基地である全国各地の反基地・ベトナム反戦運動が高揚したのが68年だ。

2015年夏に国会議事堂前で展開された安保法制反対デモとも比較されたように、政治の激変、社会運動の高揚の転換点として語られる68年だが、ほかにも多様な価値観や文化・芸術などに大きなインパクトを残したにもかかわらず、これまでの議論が見落としてきたものは多い。

本書では、「性と身体」という視点から68年の多様な文化実践を掘り起こし、現代にも続く影響力とそのダイナミズムを明らかにする。具体的には、これまでの68年論が素通りした文芸作品や芸術表現、解放をめざした運動の陰で抑圧されていた女性問題、などを取り上げて、変革のなかで「性と身体」がどのように語られてきたのかを6章に分けて検証する。60年代論の新機軸を提示する論集。

目次

序文 小松原由理

第1章 幽閉されるアメリカン・ヒロイン――十九世紀末から一九六〇年代へ 山口ヨシ子
 1 一九六三年、ベティ・フリーダンとシルヴィア・プラス
 2 消えた「新しい女」
 3 幽閉されるヒロインの系譜
 4 「職業・主婦」を推奨する社会の諸事情
 5 変革への兆し

第2章 誰の〈身体〉か?――アメリカの福祉権運動と性と生殖をめぐる政治 土屋和代
 1 「福祉の爆発」と不妊手術
 2 レルフ姉妹をめぐる裁判
 3 黒人の「組織的集団虐殺(ルビ:ジェノサイド)」か?
 4 「鍵となる言葉は「選択の自由(choice)」である」

第3章 スウィンギング・シックスティーズの脱神話化――アンジェラ・カーター『ラブ』再訪 村井まや子
 1 「性の革命」元年
 2 『ラブ』にみる愛の神話の論理的帰結――一九六九年
 3 「あとがき」による『ラブ』の脱神話化――一九八七年

第4章 身体の「自律」から「関係」の身体へ――アニエス・ヴァルダ『歌う女、歌わない女』をめぐって 熊谷謙介
 1 ヌーヴェル・ヴァーグと女性
 2 フランス女性解放運動と『歌う女、歌わない女』
 3 自律の身体、関係の身体

第5章 女性性の戦略的表象――アンナ・オッパーマンの「アンサンブル・アート」と〈六八年〉の身体 小松原由理
 1 アンサンブルの誕生
 2 手法としてのアンサンブル
 3 ハイパーメディア空間としてのアンサンブル
 4 〈六八年〉の「痕跡保全」としてのアンサンブル
 5 アンサンブル『主婦であること』――イメージとしてのジェンダー

第6章 一九六〇年代日本の女性運動家の実情とイメージ――白土三平のマルクス主義的長篇漫画『カムイ伝』を題材に クリスチャン・ラットクリフ
 1 若い運動家が揺るがした一九六〇年代日本での女性活動家の立場と役割
 2 資料としての『カムイ伝』
 3 『カムイ伝』で描かれる女性の類型とその役割
 4 『カムイ伝』の女性描写と一九六〇年代の女性運動家

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