内容説明
電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。
鎌倉中期、日本は対外戦争を経験する。二度にわたる蒙古襲来(元寇)である。台風が吹き、文永の役では敵軍が一日で退散し、弘安の役では集結していた敵船が沈み、全滅したとされる。だが、それは事実なのか。本書では、通説の根拠となった諸史料の解釈を批判的に検証。戦闘に参加した御家人・竹崎季長が描かせた『蒙古襲来絵詞』ほか、良質な同時代史料から真相に迫る。根強い「神風史観」をくつがえす、刺激に満ちた一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamatoshiuruhashi
54
蒙古襲来の実相を資料を見直すことで解き明かそうとする。日本の側の資料だけでなく、元、そして侵略者としての高麗の資料も参考に。ハイライトは「蒙古襲来絵詞」の解読。小さな事柄も重要な事実を示すと言う。また一場面の絵に複数の事実と時間が異なる一連の流れが描かれていると言うのは驚きだが、その解説は真に迫る。絵詞全体をしっかりと見る機会が欲しいと切実に思った、2021/03/08
かごむし
44
八幡神がいかに偉大かを宣伝する書物「八幡愚童訓」の記述に基づいて生まれた、神風が吹いて元軍が一夜にして消え去ったとする神風史観。実際にはそんな都合のよい神風は吹かず、日本軍の奮戦があったことを史料に基づいて検証する。学校で習ったときに、元寇のくだりには違和感があって、でも教科書に嘘は書いてないだろうと受け入れていたのだけど、本書を読んで、納得できたし勉強になった。歴史的事実がどうだったかということもそうだけど、通説というのがこんなにも根拠薄弱なものに基づいて形成されるということに驚くという読書でもあった。2019/09/01
AICHAN
44
図書館本。蒙古襲来には不思議なことが2つある。ひとつは、なぜ元が日本を攻めたのかということだ。もうひとつは、元寇では神風が吹いたと言い伝えられているが、実際は文永の役では神風は吹かなかったし、弘安の役では神風が吹いた後も戦闘が続いたことである。これら疑問に答えるために著者は筆をとった。ひとつ目の疑問の答えは火薬の原料になる硫黄を元が欲していたのと、日宋貿易で日本が宋に硫黄を輸出しないようにさせるためだった。ふたつ目の疑問については、しつこいほどあらゆる資料を紐解いて神風神話を打ち破ってみせている。2018/02/16
Tomoichi
41
研究が進むと少し歴史の真実に迫ることができる。本書も蒙古襲来の真実に迫る一冊。神風というのは戦場から遠く離れた世界で神仏に祈る事しかできない貴族や寺社が作り上げた幻想であり、実際は台風後もその前も九州の武士が懸命に戦ったのである。幻想を利用した帝国海軍はやはり戦場を知らない貴族や寺社と同じだったのではないだろうか。2019/07/20
鐵太郎
38
元寇の時モンゴル遠征軍は「神風」と呼ばれる台風の被害「だけで」「一日で」壊滅して退却したとされるが、それは事実ではない、という主張から始まります。いつまでの京貴族たちの願望に引きずらず、史料をよく読めという主張は悪くない。とはいえそのあと、竹崎季長の『蒙古襲来絵詞』から読める戦いの様相、そして終章の神風特攻隊への思いなど、話がずれて広がりすぎではないかな。内容はいろいろ興味深い解説もあって面白いんだけど、特攻隊の悲劇に結びつけるのはいかがなものかな。2022/08/14
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