内容説明
日本ホラー小説大賞、角川ホラー文庫の歴史を彩る名作たちがまとめて読める! 町会館で見つけた、地域の怪異が記録された古本を手にしたら――。異色の怪談、朱雀門出の「寅淡語怪録」。その発想力を選考委員が絶賛した、「穴」に入らずにはいられない男のシュールすぎる1作、国広正人「穴らしきものに入る」など計6編。当時の選評からの一言も引用収録。決して他では味わえない、奇想天外な短編ホラーの世界へようこそ。
<収録作品>
吉岡暁「サンマイ崩れ」
曽根圭介「鼻」
雀野日名子「トンコ」
田辺青蛙「生き屏風」
朱雀門出「寅淡語怪録」(「今昔奇怪録」の原題)
国広正人「穴らしきものに入る」
※本書は日本ホラー小説大賞の短編賞受賞作の中から6篇を収録したアンソロジーです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雨
32
それぞれジャンルは違うがホラー小説として面白かった。「鼻」は読んだ記憶がある。2023/11/30
佐倉
17
集成1に比べてグロテスクな作品が少なく、奇談的な雰囲気の作品が増えている印象。『サンマイ崩れ』吉岡暁は視点役の不安定な精神、登場人物たちの方言、すべてが分かってから読む一文目が趣のある一作。『鼻』曽根圭介は差別の横行するディストピア的な世界観と不良刑事が殺人事件を追う描写が交互に展開する。読んでる途中でこの二つの話、本当に関係あるの?と不安になったが…『トンコ』雀野日名子は荒俣宏の選評の通り豚でここまで読ませるのは凄いパワー。兄弟たちの幽霊に導かれる冒険譚だが物哀しい。2024/01/07
tomomo
14
図書館本 何作か既読の作品あったけど、1より2の方が面白かった トンコ、これホラーなの?? 自分の家のわんこと豚さんが被ってしまって、辛い… 生き屏風と寅淡語怪録は好みのお話♡ ホラー色弱め、感動する作品すらある1冊 怖いだけではないホラーオススメ2024/02/04
うさみP
10
こう返す、ホラーと小説はすこぶる相性が良いと。『1』が臓器や肌刺激の強い近代的なホラーだとすれば、こちらは奇譚や怪談を題材とした心象風景で感じる原初的でジャンルを越境したホラーで、ホラーを薦めるならこちら側かな。現代のドナドナである、食用豚のトコトコ逃避行をコミカルに書いた『トンコ』は食育にも通じる稀有な名作なので子供を中心にみんなに読んでほしい。2024/01/22
ジャッカル佐崎
4
『集成1』と同じく、解説の類が無いのは少々寂しいのだが、面白さは流石の一言。単なるホラーの枠に留まらない、バラエティ豊かな作品が揃っている。6編どれもハズレ無し。現在では紙の本が手に入りにくい作品もあり、角川ホラー文庫30周年を祝うアンソロジーとしては意義あるものだと思う。ちなみに日本ホラー小説大賞の短編賞受賞作としては吉永達彦「古川」、伴名練「少女禁区」が未収録(佳作も含めればもうちょいある)。2023/11/21