内容説明
社会的不寛容の深刻化、政党間の対立の激化、ポピュリズムの台頭、民主主義の後退に対する反省をきっかけに、信頼のあり方への懸念が高まっている。本書は、現代社会理論の規範的見解に挑戦するとともに、世界中の多様な社会から得たエビデンスを提示することで、信頼と信頼性という現象を新たな視点から見直し、その原動力に迫る。
目次
序文と謝辞
第1部 はじめに
第1章 信頼の二面性
I 判断の類型
II 懐疑的な信頼性判断
III 本書の構成
第2章 懐疑的信頼の一般理論
I 信頼の起源に関する議論
II 懐疑的信頼の理論
III 媒介条件
第3章 エビデンス
I 信頼の理解に向けた各種手法
II 信憑性の検証
III 結論
第2部 何が信頼を生み出すのか
第4章 世界的な信頼動向の比較
I 信頼動向に関する議論
II 世界的な信頼動向・パターンに関するエビデンス比較
III 信頼に関係する社会人口統計学的属性
IV 結論
第5章 有能性
I 信頼と信頼性に関するパフォーマンス理論
II 信頼と家計状況
III 政府の有能性と信頼性
IV 結論と考察
第6章 清廉性と公平性
I エージェンシーの説明責任はなぜ重要なのか
II 政府の質についての主観的認識と信頼
III 信頼に値する統治についての客観的指標
IV 軽信的信頼と冷笑的不信はなぜ問題なのか:コロナ禍の事例
V 結論と考察
第3部 結論
第7章 懐疑主義の勧め
I 信頼の恩恵に関する従来の見解
II 概念的・理論的枠組みの修正
III 実証的発見
IV 自由民主主義への含意
注釈
訳者あとがき
参考文献
索引