内容説明
真敷市公民館で行われている奇術ショウの舞台で、仕掛けの中から飛び出すはずの水田志摩子が現れない。それどころか彼女は自分のマンションで殺されていた。しかも死体の周囲には、同じ奇術クラブの仲間、鹿川舜平が書いた「11枚のとらんぷ」に鏤められた11のトリックを構成する小道具類が毀されて置かれていた。秘密の儀式めいたトランプ奇術殺人は何を意味するのか。著者の鹿川舜平が辿りついた事件の真相とは。自らも数多くの奇術を生み出し、石田天海賞を受けているマジシャン泡坂妻夫が、小説家としてのスタートを飾った記念すべき第一長編。/解説=相沢沙呼
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
357
★★★★☆ 著者の長編デビュー作。 かなり古い作品だだが、奇術(手品)とミステリをがっつり融合させた趣向は斬新で現代でも十分通用しそう。 正直そこまで奇術には興味なかったので、技術に関する解説や雑学は退屈しながら読んだけど、解決編で実は11の手品にまつわる作中作品と殺人事件とがリンクしていたのには興奮した。伏線も山盛りで凄いミステリだと思った。 登場人物がそれぞれコミカルで存在感があるのも良い。特に桂子は魅力的で誰でもファンになってしまいそうだ。2026/07/28
カノコ
29
奇術ショウの最中に姿を消した女性が、自室で他殺死体で見つかる。現場には、奇術小説「11枚のとらんぷ」に登場する小道具が散乱していた。作中作にかなりの紙幅を割かれているが、これが面白い。奇術クラブの面々の人となりが分かるだけではなく、短い話の中にしっかりオチが利いていて流石の手腕。しかし何と言っても解決パートが凄い。事件とは関係のない描写が多いと感じさせておいてからの(しかし退屈ではない)、怒涛の伏線回収。プロ奇術師でもあった著者の強みが存分に発揮されたデビュー作。人を騙すことに長けすぎている。名作。2024/08/03
のほほん
20
アマチュアの奇術クラブの発表会の様子からお話は始まります。アマチュアですので失敗はつきものです。笑いとドタバタのあと会員のひとりが殺害されたとの報がはいります。事件の推理に重要と思われる11編のショートショートが間に挟まります。このショートショートが奇術がテーマで種明かしもあってと楽しい読み物でした。事件解決のヒントが含まれているので要注意です。奇術素人には難しい解説もありましたが、次に手品を見る時は注目点が違っているかも。トランプやコインを使った手もとの技が光る手品を久しぶりに見てみたくなりました。2026/08/30
だるま
18
殆ど図書館本を利用だが、これは購入、再読。国内ミステリでは私の生涯のベスト5に入る大傑作。装丁と解説が変わっただけで小説自体は以前のままだけど、このシンプルな表紙はとても合っていると思う。内容は素人マジシャングループの公演中に起こった殺人事件。その顛末が第1部と第3部で描かれ、間の第2部は奇術に関連したショートショートミステリ。このショートショートだけでも非常に面白いのだが、何故中間に入れたかの意味が分かった時には愕然とした。泡坂マジックに完全にヤラれた。これ以上、伏線の出し方の見事な作品を私は知らない。2023/12/02
ひろ
17
著者の長編デビュー作であり、マジシャンのバックボーンが存分に盛り込まれている。相手を欺くミスリーディングなど、ミステリとマジックの共通点は多いとは思っていたが、本作では高い次元で融合している。物語全体の構成も楽しく、1部では主要人物たちのマジックショーが描かれる。ハプニングを交えつつの状況は文章だけでも楽しい。事件が発生し、関連する作中作が2部に置かれる。全11編でマジックのタネを紹介するのだが、ここ単体でもとても面白い。3部で至るところに隠されていた伏線が回収される。解決パートの畳みかけには圧倒された。2024/08/03




